« 2007年9月 | トップページ | 2007年11月 »
秋も深まってくると、繁殖の最後の機会と激しく活動するタイプの昆虫と、ひっそり日向ぼっこをして体温を上げようとしている昆虫と、いろいろになります。
これは何枚もの葉陰の向こうの日当たりにたたずんでいた、たぶんアブの仲間。
シャッターを切った直後に飛んで行ってしまいましたので、これしか撮れませんでした。
すごおく、しみじみと秋の深まりを感じさせるワンシーンでした。
別件
アブのようでもありますが、アブのような刺す口ではないようだし、とするとハチの仲間かなぁ、と・・・。悩んでアップできないでいるうちにこんな時期になってしまいました。ここでついでに載せておきます。この一枚で、種が同定できるでしょうか?詳しい方、教えてください。
一つのケースの中に3匹の蛹がいますという話をしました。その3匹のうち2匹は無事羽化してチョウとして旅立っていったのですが、1匹は寄生されていました。
蛹化するときに、幼虫時代の皮を脱ぎ棄てることができなくて、ぶら下がっている先端部に残ってしまったのです。
たまには失敗してこうなることもあるのだな、と思っていましたら、羽化できませんでした。
蛹の中で成虫の体をつくりかけていたように見えます。
気づいたらケースの底に、褐色の俵状の「蛹」が二つ転がっていました。ハエの蛆が出てきて蛹化したのでしょうね。このせいで、蛹化でも完全に「脱ぎ捨てる」ことができなかったのでしょうか?
これが、ハエの蛹の抜け殻です。
寄生者はどんな昆虫なのか、と見守っていましたところ、端を押し開いて羽化してきたのは「ハエ」でした。ヤドリバエの仲間なのでしょうが、正式な名前はわかりません。
ハエが羽化した時の出口が開いていますね。
羽化したばかりはあまりにも元気がよくてとても写真を撮れるような状態ではありませんでしたので、ツマグロヒョウモンの方に感情移入している私としては、かわいそうな気もしましたが、ハエには餓死してもらいました。
そうして撮ったのがこの写真です。
両複眼の内側が金色のようで、ずいぶんきれいなハエです。
結構、美しいハエとは言えます。
最後に、口をご覧ください。
2匹羽化したうちの、もう1匹です。脚が伸びていて、体を起こせなかったのでひっくり返ったままの写真になりました。
頭部に、口器があります。ハエ特有の、いわゆる「なめる口」です。
さて、こうやって観察してみると、ハチと違って産卵管があるわけでもなし、噛む口もないし、どうやって寄生するのでしょう?
http://homepage3.nifty.com/ueyama/seitai/kisei.html
ヤドリバエに産卵されたヒメアカタテハの幼虫とヤドリバエの卵
↑すごい観察記録の写真があります。
http://shoko.web.infoseek.co.jp/Guest/kiseibae1.html
ヤドリバエの寄生方法
◆卵生
発生の殆ど進んでいない卵を寄主の体に貼り付けたり、体内に生み込むという方法をとります。
産卵管を持たないため、♀の腹部末端数節がへらのような形になっているもの、または産卵管状になっているものもいます。
◆卵胎生
♀の総輸卵菅を子宮の役割を果たす器官に変形させ、卵発生を進めてから産み出します。
3つの寄生方法に分かれます。
1.卵生と同じように寄主に直接卵を産みつける(直接型)
2.寄主のいない場所に孵化直前の卵を産み孵化した幼虫がその場にとどまって寄主の通りかかるのを待つ(待機型)
または幼虫が自分から探しにいく(検索型)
3.非常に小さな卵を寄主の食餌に産み付けて、それを寄主が植物とともに呑み込むことによって寄生する(微小卵型)
↑「晶子のお庭は虫づくし」というサイトは、本当にすごいです。まあ、なんでもあります。
上にあげたどれかの方法で寄生したのですね。
ちなみに、アオスジアゲハへの寄生は「微小卵型」です。
--------------------
昔話:便所がまだ汲み取り式で、日常生活にハエは普通の昆虫だった時代。ある時、飛んでいる結構大型のハエをパッと手づかみで捕まえてしまったのです。少年のころ、まだ老眼じゃないし、反射神経もいいし、捕まえちゃったのですね。かるく握りつぶして、そっと、手を開いてみたら、微小な蛆がいっぱい。メスの腹の中で孵化していたのが出てきてしまったのですね。ハエに卵胎生があることを初めて知ったのはこのときでした。
最近:ハエの蛆が、腐敗したものしか食べないことを利用して、糖尿病などで壊死した組織をハエの蛆に食べさせて、健康な部分を救い、脚の切断をせずにすむような治療法が開発されています。無菌のえさで育てれば別に不潔なわけではなし、健康な組織には全く影響のない優れた治療法だそうです。
「ウジ虫で治療」都ベンチャー大賞:文京の医療関係会社に(朝日新聞 2007/10/26)
新技術や商品開発に取り組むベンチャー企業を表彰する「都ベンチャー技術大賞」の表彰式が25日、江東区の東京ビッグサイトであった。ウジ虫を使い、壊死した部分を治療するバイオセラピーメディカル社(文京区)が大賞を受賞した。
8回目の今回は115社の応募があった。大賞を受賞した企業は賞金300万円がもらえるほか、販路の開拓や低利融資など都の支援を受けられる。
バイオ社は、ウジ虫が腐った組織だけを溶かして吸収する性質を利用した糖尿病による足の壊死などの治療法「マゴットセラピー」を広めるため、飼育したウジ虫を販売するだけでなく、病院と連携して、診療料金の設定からウジ虫の保存、処分法、患者の副作用対策までをシステム化した。
彼岸花地獄極楽花模様 彼の世の人を思い出す花
(岸和田市)久吉英子
亡き母の形見のやうに彼岸花
(東京都)向井はるを
朝日歌壇・俳壇 2007.10.22
二時間の主婦の家出は曼珠沙華見たくてローカル線に乗り継ぐ
(岩国市)兼重陽子
朝日歌壇 2007.10.29
ヒガンバナという花は、「彼岸」という名前のせいもあるでしょうが、一種、非日常へのいざないを感じさせる花ですね。
「彼岸」はご存知のように生死を繰り返して流転する「此岸」にたいする、涅槃の世界を表す語ですから、日常を超えています。
でも、あの花の持つ、独特の「異様さ」が名前を超えて、非日常的な情感へいざなうのではないでしょうか?
鮮烈な赤、普通の花の花びらなどの構造が見えないこと、葉がなくすっくと立つ茎のてっぺんに「花だけ」・・・なんとなく、普通の人の、普通の時間の中に、フト割り込んできた非日常、という感じがしますね。
------------------------------------------
◆山口百恵の「まんじゅしゃか」はたしか
・・・まんじゅしゃか、恋する女は、まんじゅしゃか、罪つくり・・・
こんな詞が入ってましたよね。世俗の価値を破壊しても恋に身を滅ぼしてもかまわないという、やはり、日常の一線を一歩踏み越えようとする歌詞、そして不安定な切羽詰った歌声。でした。
◆「femme fatal」(ファム・ファタール)英語でいえば「fatal female」でしょうか、「運命の女(ひと)」と訳すのでしょうか。でも「致命的な女(ひと)」でもいいのではないでしょうか。
世俗の価値を超えた恋に焦がれ尽くす、というのはまさしく世間の常識からすれば「致命的なこと」ですからね。
◆日常、という見慣れた世界を、一歩「向こう側」へ踏み込んでしまった、という歌を歌えるのは、井上陽水と一青窈かなぁという気がしています。
一青さんなんかは、ちゃんとつなぎとめておかないと、ふわぁ~っと、どこかこの世ならぬ世界へ漂っていってしまいそうで、引きとめておかなくっちゃ、という気分にさせられます。
貴重な歌手だと思っています。今後、どのように年齢を重ねていくのか、見ていたい歌手です。
◆駄弁でした。ご容赦を。
ハサミムシに端を発して、ホルマリン漬けのヒキガエルから、医学生の解剖実習、その時のホルマリンによる化学物質過敏症の訴訟まで、話は飛び歩いておりますが、裁判の判決が出たようですので、行きがかり上お知らせします。
化学物質過敏症:実習原因で退学と提訴…元学生の請求棄却
解剖実習で使うホルマリンで化学物質過敏症になり医師の道を断たれたとして、元医学部生の女性(34)が東海大と山口大に計1億円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は29日、請求を棄却した。秋吉仁美裁判長は「大学側に具体的対策を取る義務があったとは認められない」と判断した。女性は東海大在学中の99年4月に倦怠(けんたい)感などを覚え、通学できなくなり退学。山口大に編入したが症状が再発し、04年3月に退学した。判決は、ホルマリンが原因で化学物質過敏症になったと認めたが、東海大の責任は「実習の環境改善を求める文部科学省の通知(01年)前で問題意識が醸成されていない」と否定し、山口大に関しても「具体的対策を始める時期だった」と注意義務違反はないと判断した。【北村和巳】
毎日新聞 2007年10月29日 22時54分 (最終更新時間 10月29日 23時25分)
法律的な判断というものはよくわかりません。ホルマリンが原因だと、因果関係は認めたけれど、対策を取る義務がなかった、という判断です。
現在なら、同じ状況になった人は請求が認められるのでしょうか。法は遡らない、ということでしょうか。
科学の方が楽しいや。
全身を火がつらぬきて母となるみどりごに乳吸われたるとき
(神戸市)西塚洋子
朝日歌壇 2007.10.22
この歌は一応の表面としては、初めての授乳で、赤ちゃんが一生懸命うっくんうっくんと母乳を飲み、母となったことの感動を実感した、その感動を「火がつらぬく」と表現したのだ、といえばそれですむような気もします。
私は男性ですから授乳の実感などないのですが、あえて一歩踏み込んでみたいのです。女性の方には、ひょっとして失礼な発言になるかもしれません、ご容赦を。
出産直前、大きな胎児が入っていた子宮は、出産直後にはまだ緩んだ状態にあります。胎盤がはがれ落ちた後も「傷」になっています。
メルクマニュアル家庭版によれば
大きくなった子宮はしばらくの間収縮を続け、2週間ほどかけて徐々に小さくなります。この収縮は不規則に起こり痛みを伴います。子宮の収縮力は授乳によって強まります。これは、授乳によって分泌が促進されるオキシトシンというホルモンに、乳汁を放出させる作用(催乳反射)と子宮を収縮させる作用があるためです。産後5~7日で子宮は硬くなり、圧痛はみられなくなりますが、サイズはまだ大きく、恥骨とへその中間あたりまで達しています。産後2週間で子宮は正常な大きさに戻りますが、腹部が妊娠前のように平らになるには、運動をしている人でも数カ月かかります。
赤ちゃんに授乳をするということは赤ちゃんの成長にとって大事なことであると同時に、お母さんの体を早く回復させる赤ちゃんのお仕事でもあるのです。
母から聞いたのだったか、よくわかりませんが、赤ちゃんが乳首を含むと、お母さんは自分の体で子宮が収縮する感覚を得てとても穏やかな気分になるのだ、と聞いたことがあります。
ひょっとして「全身を火がつらぬきて」というのはその感覚のことなのではないか?と。
読み込みすぎですか?
お茶を断ち紙おむつも当て炎熱の抗議集会行きのバスに乗り込む
(沖縄県)和田静子
朝日歌壇 2007.10.22
9月29日の沖縄県民大会のときのことでしょう。
沖縄、11万人が訴え 教科書検定「撤回を」
朝日新聞 2007年09月29日21時33分沖縄戦で日本軍が住民に「集団自決」を強制したとの記述が教科書検定で削除された問題で、検定意見の撤回を求める超党派の沖縄県民大会が29日、宜野湾市の海浜公園で開かれた。参加者は主催者発表で11万人。米兵による少女暴行事件を機に8万5000人が基地の整理・縮小などを訴えた95年10月の大会を大きく上回る「島ぐるみ」の集会となった。参加者は検定意見の撤回と記述の回復を求める決議を採択した。
正面切って、検定意見撤回というようなことを詠んではいません。ですが、その決意の強固なことをこれほどの力で迫ってくる歌の力はすごい。
おそらくご年配の方と拝察します。たくさんの人が座り込む集会で、もし尿意を催したらどうなるか。すみません、と声をかけながら、集会に来ている人々の脚の間をまたぎこし、よけてもらいながら集会場の周辺にあるトイレへ行かなければなりますまい。
私は脚に障害があるのでその辺には敏感です。「またぐ」ということができません。新幹線に乗っても窓際の座席より通路側の座席の方が安心できます。「またがずに」トイレに立てるからです。
おそらくご年配の方にとって、声をかけ、人の脚をまたぐというのは、想像以上に大変なことなのです。ですから、前日からあるいは当日の朝から水分を減らして体を絞り、その上、紙おむつまで当てて集会に出席なさったのです。命を削るような行為だったと思います。
この集会に、最初から最後まで付き合うのだ、という強烈な意志です。
この決意の激しさを、政治家は受け止めなければなりません。
この集会に参加した方の心を、予想もしない方向から読ませていただきました。感謝します。
------------------------------------------
かつて、原爆のフィルムを買い取る「10フィート運動」に参加していた当時の話です。フィルムが集まり、それをまとめた映画の上映会に行きました。映画を見たのち、スクリーンの前で被爆者の方の話を伺いました。
「映画に映し出された悲惨を見ていただいたが、実は映画には絶対に映らない別の悲惨があったのだ」と切り出されました。「それは臭いである、死臭である、腐っていく人の臭いが、町には立ちこめていたのだ」とのことでした。
激しいショックを受けました。
------------------------------------------
遠くにいては知りえない、とてつもない真実が現場にはあるのです。
昨日、ヒゲナガハサミムシについて書きましたが、その最後に、ホルマリン漬けのヒキガエルの解剖をした話もちらっと書きました。実はあの時、頭の隅にこんな見出しがあったのです。
解剖実習で化学物質過敏症に:元医学部生が2大学提訴(2004/9/8、毎日)
遺体の固定に使うホルマリンに接した後、のどの痛みや皮膚のかゆみなどに見舞われた。
さて、今朝の新聞を見ましたら、上で提訴された訴訟の判決が今日あるらしいのです。
「ホルマリンで過敏症」 2007年10月29日
元医学生が解剖実習のホルマリンで化学物質過敏症になったとして、二つの大学に計1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁である。解剖実習室の安全管理を問う訴訟は初めて。文部科学省は01年、国公立大学に実習室の環境改善を求めたが、その後の同省の調査で多くの学生の体調不良が明らかになった。原告は「実習で体を壊し、医者になれない学生は大勢いる」と訴える。
原告は都内に住む女性(34)。訴えによると、99年4月に東海大医学部に入学したが、直後の解剖実習の初日からめまいなどがして、同月下旬には倦怠(けん・たい)感や頭痛の症状も現れた。9月から休学、翌春に退学した。体調が少し戻った01年に山口大医学部に入学し直したが、実習で再び体調を崩して退学した。
解剖実習で使われる遺体には、劇物のホルムアルデヒドの水溶液であるホルマリンが1体に約1・4リットル注入されている。多くの遺体が並ぶ室内で学生は通常3~6カ月間、実習を行っているという。女性は「解剖実習以外でホルマリンに接する機会はない。実習が体調不良の原因なのは明らか」と訴える。
これに対し、被告側は「症状とホルマリン暴露との関係が明らかにされていない」(東海大)と因果関係を否定。換気などの注意義務を大学が怠った、との原告の主張には「当時、ホルムアルデヒド濃度の基準値は、解剖実習室に設定されていなかった」(山口大)などと反論している。■国は濃度基準示さず
ホルムアルデヒドは、室内の壁紙や建材に含まれる化学物質で体調を崩す「シックハウス症候群」の一因とされ、97年に厚生省(当時)が、住宅のホルムアルデヒドの室内濃度指針値を「0・08ppm」と設定した。
解剖実習室については文科省が01年4月、濃度の基準値は示さなかったものの、国公立大学に空気環境の改善などを講じるよう通知した。しかし、医歯学生を対象にした同省の調査によると、解剖実習でアレルギー症状の悪化や目の痛みなどを訴えた学生は01年度が180人、02年度は192人、03年度は217人に上っていたという。
独立行政法人国立病院機構盛岡病院の水城まさみ副院長によると、98年に勤務していた大分医科大(現・大分大)で測定した解剖実習中のホルムアルデヒド濃度は、0・13~1・2ppm。このため同大は簡易活性炭マスクを導入し、換気改善工事もしたという。
だが、「全大学で改善できているかは疑問」と水城医師は言う。「20年前と比べ過敏な体質の人が増え、より注意深い対応が必要な時代になっている」と話している。
噂をすれば影とやら・・・ですね。何というタイミングでしょう。
40年前の大学生は(団塊の世代だし)粗製乱造世代?それとも粗製頑丈世代?なのでしょうか?
DDTやBHCも日常大量に使ったし、水銀農薬米も食べたし、食品添加物も大量に摂取したし、いや~、いまんとこ元気です。
教師になってからも、そう20年くらい前までは、有機化学でホルムアルデヒドの濃い気体を生徒に吸わせましたけど。
メタノールに焼いた銅線のコイルを突っ込んで、ジュワ~っといわせると、メタノール蒸気と一緒にホルムアルデヒドの濃厚なやつが上ってきて、生徒に吸ってご覧、というと鼻がひん曲がる、ノックアウトだ、と大騒ぎしながら実験してました。
尿素樹脂の合成でも、ホルムアルデヒドの気体で眼をしょぼしょぼさせながら実験したものですが、だんだんに、アトピーの生徒も増え、そういう実験はできなくなったのです。
理学部化学科全体に漂うあの「化学物質の臭気」が懐かしい私です。私は有機反応論の研究室で卒論書きましたから、もう、有機物質蒸気の中で生活しておりました。
ところで、今のところ、判決がどうなったかはわかりません。(3:40pm)
判明したらまた書きましょう。
オニグルミの実が大量に落ちてきたので、拾いに行った妻がカゴに山盛り撮ってきて、食べられるのと食べられないのを分けていたら、「虫がいる」といいました。「イモムシかい?」「これはハサミムシよね」と連れてきたのがこのハサミムシ君。
虫さんがやってくると記念撮影して放してやるのが我が家の流儀ですので、さっそく記念撮影。
ポーズが決まってますね。
眼が黒くて頭部も黒いので、あまりはっきりしませんが、出っ張ったカーブの具合で、ここが眼だな、とわかると思います。
妙に「首」が長いですね。(私たちの首とは構造は違います。正式にはなんていうのかな体節と体節の間の「膜」ですね。「節間膜」だったでしょうか。)
胸部を構成する3つの体節が完全に一つになっていないようです。3対の脚の出ているところを見てください、体節が3つですね。
翅もないようです。
脚は白っぽくて付け根のあたりが薄く黒いですね。
面白いのは、写真を撮って初めて判ったのですが、触覚です。本当は基節のほうからかんじょうするべきでしょうが、面倒くさいので、先端から4節目と5節目が白いです。あとは黒いですね。なんというのか、おしゃれなのでしょうか?
肉食性ですが、「吸う口」ではなく「噛む口」です。かなり頑丈そうな顎が見えています。
すごいハサミでしょ。カニのハサミみたいですね。恐がらなくていいですよ、人が挟まれればそりゃ痛いけど、毒があるわけじゃなし、巨大な生物ヒトに害を及ぼすようなパワーはありません。
横からのアングル。石の下などに潜り込んでいますから、体は扁平です。
腹側からの撮影を試みましたが、あまりいい写真は撮れませんでした。
こんな感じのものなのか、と観察してください。
さて、この記事をアップロードするにあたって、確認しなくちゃな、と思って検索をかけて見ました。すると、なんと、ここまで紹介してきたこの昆虫、「ハサミムシ」ではなくて「ヒゲナガハサミムシ」だそうです。知らなかったぁ。
大日本図書という教科書会社のホームページに、八木澤先生という方がコーナーを持っていらっしゃって「おおきくなあれ」という題名です。素晴らしい写真と解説です。
http://www.dainippon-tosho.co.jp/yagi/1999/index.htm
ここが、その「おおきくなあれ」のトップページですが、索引もありますから、お好きなものを探してみてください。昆虫や他の小動物だけでなく、植物も含まれています。とってもきめ細やかな「眼」が感じられます。
vol.3 No.8が「ハサミムシ」です。
http://www.dainippon-tosho.co.jp/yagi/2001/010715/010715.htm
「卵は親に守られながら育ち、およそ2週間ほどで孵化します」
「敷石がどかされたりして光にさらされると、親はあわてて卵や子どもたちを穴の中に隠します」
「孵化してから10日間ほどは親と一緒に暮らし、親の運んできたダンゴムシなどを食べて育ちます」
「足が白いことから、ヒゲナガハサミムシという種類であることがわります」
親が世話をするのですね。幼虫の食べ物まで世話をするというのは珍しい。
さて、それで、太字にしたところです。ね、私がご紹介したのはヒゲナガハサミムシですね。
単なる「ハサミムシ」は脚が黄色いそうです。
----------------------------------------
◆ハサミムシの思い出
大学の教養学部時代のことです。動物実習という楽しい実習がありまして・・・。
ホルマリン漬けのヒキガエルを2匹もらって徹底的に解剖したり・・・。(すごいですよ~、部屋中ホルマリン蒸気漬け、目がショボショボして涙流しながら解剖、自分の指までホルマリン漬けになって、ごわごわに硬化します。鼻はばかになって、食事の香りもわかりません。今だったら「化学物質過敏症」とかいうようなことで、実施できないかもしれませんね。)
減数分裂の観察、という実習がありました。ふつうよくやるのは、バッタ類の終齢幼虫くらいのオスの背中を切って精巣を引き抜き、染色して観察するのですが、季節の関係もあり、すでにつくられた標本を観察しました。それが、ハサミムシの精巣の標本だったのです。ハサミムシの大家、という先生がいらっしゃって、(実は教養での担任をしていただいた先生ですが、大学での担任なんてとくに何にも仕事はないのですが・・・でもすごい先生で)、戦前からもうハサミムシを飼育していらっしゃったそうで、飼育を継続するために学校を正月といえども一日たりと休んだことはない、という噂でした。学生全員、ひたすら、尊敬するしかない大先生でした。
助手の方によりますと、精巣を引き抜いてさえもらえば、標本化することは自分たちでもできる、実際そうやって助手の先生が作った標本を観察したのですが。
なにせ、ハサミムシの精巣を引き抜くのは大変な名人芸が必要なのだそうでして、その先生にやっていただかないとうまく引き抜けないのだそうでした。
名人の技のおすそ分けを頂いて、減数分裂の観察をし、精細な観察画を描くことに専念して、レポートを書いたことを思い出します。大学一年生の時でした。
花やお供え物は絶えることがありません。
駅へ向かう道の脇にあって、歩道に立ったままで、ちょっと顔だけ向けて、「いってまいります」とか「ただいま」とか声をかけやすい場所に立っていらっしゃいます。
ここで写真を撮っている間にも、小さな男の子を連れた若いご夫婦が通りかかり、男の子は地蔵堂にちょっと入って行って、近いほうの小さなお地蔵さんの頭をなでていました。
私は「かかし(案山子)」を名乗っていますが、私が案山子に感じている「情感」と、お地蔵さんに感じている「情感」は、ほとんど同じです。
かかしは、田んぼに立って、効き目があるのかないのか、スズメを見張り、虫を見張っています。農家の人は、大して効き目があるとは思えないかかしに、おそらく朝夕、声をかけて農作業にいそしむのでしょう。
家から田んぼへ通う道の脇にはお地蔵さんが立っているかもしれません。朝な夕なに声をかけ、みんな元気ですよ、とか、病気が治りました、ありがとうございます、とか、今年は豊作になりそうです、とか、この日照りでは稲が枯れてしまいます、とか、日常の喜びや悲しみや悩みなど・・・いつも語りかけることでしょう。
お地蔵さんの「願」とはおそらく、庶民のつつましやかな生活に「立ち会う」ことなのではないでしょうか。何かをしてあげられるとは限らない、でも、せめて人々の生活に立会い、寄り添ってあげたい、と願っていらっしゃるのではないでしょうか。
前にご紹介した「延命地蔵さま」といい今回のお地蔵さんといい、現代の私たちの生活にも立ち会ってくださっています。生きたお地蔵さまです。せめて、私たちはその「願」に応えて、日々のやさしい気持ちを語りかけゆきたい、と思うのです。
昨日24日、U君との理科遊びの時間を持つことができまして、ホウセンカの実を弾けさせてみました。その写真です。
詳しくは、理科おじさんの部屋第105回に書きました。
「パスカルの原理飴」という妙な話も載せてありますからお読みいただければ幸いです。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/105th/sci_105.htm
ここへどうぞ。
昨日、シロヘビについて書いていって、白いスズメの話も出ました。
--------------------
色違っても仲良し:文京・本駒込に白いスズメ?(2007/2/17)
白いスズメ? 文京区本駒込1丁目の住宅地に、全身のほとんどが白い羽毛で覆われたスズメとみられる鳥が出没している。屋根の上で普通のスズメと過ごす様子を、同所に住む大学4年生の飯田隼矢さん(22)がカメラに収めた。
この鳥は翼の付け根付近の一部だけがやや茶色い。飯田さんによると、周りのスズメと一緒に飛び立つなど、同じように行動している。
山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)の平岡考・広報室長は「体の大きさや体形から見て、スズメに間違いないだろう」とみる。突然変異で色素が抜ける「アルビノ」とみられるという。
「わたしのスズメ研究」などの著書があり、長年スズメの研究をしている長野県在住の佐野昌男さんは「アルビノでも普通は群れにとけ込んでいる。白いから追い払われるということはない」と話している。
--------------------
この記事についていた写真は持っていないのですが、ネット上にはこれとは別件ですが、白いスズメの写真があります。
「白いスズメ」でグーグル検索をかけてください。上位に写真のあるページがヒットします。
http://blog.so-net.ne.jp/morinogorilla_kawanohotoride/2006-03-29
http://www.proto-ex.com/gentaiken/siroisuzume.htm
http://blogs.yahoo.co.jp/samuskygogo/49893263.html
などです。
また、茂木健一郎さんの「茂木健一郎の クオリア日記」というブログに
「伊藤若冲の『動植綵絵』の中に、雀が沢山飛んでいて、その中に白いのが一羽いる絵がある。(「秋塘群雀図」)」
という記述を見つけました。
http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2006/05/post_18d4.html
そこで調べてみたら
http://takannex.fc2web.com/itou3.html
ここに、「秋塘群雀図」があります。本当に白い雀が描かれていました。十八世紀の画家の眼に映った「白い雀」です。
このページのホームは
http://www.icnet.ne.jp/~take/jyakuvote.html
です。
関心のある方は是非どうぞ。
猫が尾を立てて見てゐる穴まどひ
(八代市)山下接穂
朝日俳壇 2007.10.22(月)
あな‐まどい【穴惑い】 蛇が秋の彼岸を過ぎても穴に入らないでいること。<季語>秋[広辞苑第五版]
猫が蛇を見つけてしまったのですね。子猫などは一日中なんでも不思議で面白くて、尻尾をピンと立てて、好奇心の活動を示していますね。(先っぽへ向かって細くなるあの尻尾がたまりません)
大人の猫だって、哺乳類である以上、何か見慣れぬものを見ると、「これはなんだぁ?」と好奇心が動きます。当然、尻尾はピン、ですよね。
哺乳類の特徴は「好奇心」にある、と私は思っています。特に生存の安全などを母親に任せっきりの哺乳類の子供は、好奇心のかたまり。それが、あの、哺乳類の子のかわいさの源泉ではないでしょうか。(ヒトもね。)
ヒトの場合、大人になっても旺盛な好奇心を持ち続けられるところが特徴なわけです。一生、好奇心で遊べます。もし、好奇心を失ったら、「人間失格」ではないでしょうか。
私も好奇心旺盛な「かかしおじさん」ですから、もし私に尻尾があったら、ピン、です(心の中の尻尾はいつもピンとしてますよ~。)
◆ところで、こんな新聞記事がありました。
「真昼の決闘」瞬間とらえる 横浜
2006年07月07日
真昼の決闘
猫が蛇を池の縁に追いつめた――。と、次の瞬間、蛇は跳び上がって猫を威嚇。猫は驚いて跳びのき、蛇は無事池に逃げこんだ。
横浜市中区本牧三之谷の三渓園で2日、こんな場面に出くわした横須賀市の会社員平野正隆さん(67)が、「真昼の決闘」をデジタルカメラで撮影した=写真。「ハスの花を撮影するため池の周りを歩いていて、偶然見かけました」
横浜市立野毛山動物園の爬虫(はちゅう)類担当、桐生大輔さんによれば、この蛇は横浜で最もよく見かけるアオダイショウ。かまれても毒はない。「首をS字に曲げ口を大きく開け、いつでも跳びつくことができるよう威嚇しています。威嚇の瞬間をとらえた写真は珍しい」という。平野さんは「蛇は猫に向かって50センチくらい跳びあがった。本当に一瞬でした。改めて自然というのはすごいなと感じ入りました」と話す。
サルの仲間のヒトの前脚はぶら下がることには強いですが、スピードでは絶対ネコ科にはかないません。
猫と蛇、まともに戦ってもたぶん猫が勝つでしょう。
◆ところで、人間だって恒温動物で、変温動物より高速で動けるんだ、「哺乳類の矜持にかけて」という記事もあったのです。お目にかけましょう。
[記者席]哺乳類としての矜持をかけて(06/10/24)
夏から秋にかけ、トカゲを2匹捕まえた。野山でトカゲを見かけると、数回に1回は捕らえてみる。きっかけは十数年前、爬虫類研究者の千石正一氏との雑談だった。
私が、爬虫類から進化した哺乳類の運動能力は「『自動車にたとえれば高燃費になっただけに、高性能』とされるが、本当なんですかね?自分はトカゲなんか捕まえられたためしがない。彼らの方がよほど敏捷では?」と尋ねると、氏は「そんなことは絶対にない」と言下に否定した。「彼らは、石の隙間や草むらに逃げ込むのがうまいだけ」と。
こと爬虫類に関して、私は氏の言葉を厚く信頼している。そこで次からは、トカゲに出くわすと「必ず捕まえる」と腹を決めて挑んだ。すると確かに、逃げ込む退路を断ちさえすれば、ことごとく捕まえられるのだ。それでこの件は納得したのだが、今でもときどき捕まえてみるのは、寄る年波にもかかわらず、自分が哺乳類としての矜持を保てるか、試しているまで。
蛇はどうか。よく、雨上がりの山道を1m級のヤツが散歩(?)しているが、追いかけてみると、楽勝だ(毒蛇が分からない人はマネしないで)。彼らは長い体を器用にくねらせて直進はできるが、なにせ脚を捨ててしまっているのだから。
こんな「道草」食い放題の私の山行きは当然、単独行だ。最悪でもピークハンターと組むのは避けないと、お互いにとっての「山」が台無しになる。
とまあ、いうわけで、面白い記者さんもいるものですね。
わたしたちヒトはほにゅうるいだぞ~~っ!
これは、朝日新聞記事の写真です。人が写っていましたがトリミングしてカットし、写真のサイズも小さくしてあります。
記事の内容はこんなです↓
巨大シロヘビ、商店街を練り歩く 山口・岩国
2007年10月21日22時42分山口県岩国市の秋の祭典「岩国まつり」が21日、JR岩国駅前一帯であり、目玉行事の「白蛇ご神幸」では、約15メートルの巨大な「シロヘビ」が商店街を練り歩いた。
同市に生息する国の天然記念物「岩国のシロヘビ」がモチーフ。巨大ヘビ4匹を地元商店街の店主らが、約4メートルの子ヘビ2匹を地元の子どもらが操った。商売繁盛の神とされるシロヘビの華麗な舞に、観光客らが盛んな拍手を送っていた。
岩国の白蛇は有名ですが、この白蛇というものは、多分、アオダイショウの「アルビノ」です。
アルビノというのは、遺伝子の突然変異によって、メラニンという色素を合成できなくなって生じるものです。メラニンはチロシンというアミノ酸から合成されますが、その合成に働くチロシナーゼが作れないのです。
アルビノ(albino)というのは、 ラテン語の"albus=;白い"に由来する語です。卵白のたんぱく質にアルブミンというたんぱく質がありますが語源は同じです。
さて、アルビノという現象は、ヘビ、ネズミ、ウサギ、両生類のアホロートルなど、いろいろの動物種で、突然変異で、まれに現れます。ヒトにもあります。
色素が作れないために、眼で、血液の色が見えてしまって、「赤い眼」になるのが特徴的です。また、そのため、目の内部の遮光性が悪く、昼はまぶしくて活動しにくいようです。
★さて、上の写真の「白蛇」を見てください。眼を真っ赤に作ってありますね。まさに、これがアルビノの特徴を示しているのです。
自然界では、色が白いために目立ってしまい、子孫を残しづらいようです。また、いわゆる劣性遺伝ですから、アルビノ同士でないと子孫がアルビノになりにくいのです。
岩国では、特に人工的に飼育下で繁殖させているわけではないのに、ずっと維持されてきたようです。珍しいことですね。
詳しいことは下のサイトをお読みください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%83%98%E3%83%93
http://www.oidemase.or.jp/db/a/detail.php?id_num=35208aa0000000847
------------------------------------------------
◆私の私的新聞見出しデータベースで「アルビノ」をキーワードにして検索してみたら、思った以上に、いっぱい引っかかりました。
--------------------
白い亀{アルビノ}(1992/9/20)
--------------------
[静岡]白いイセエビ{アルビノ}(1997/7/11)
--------------------
[長野]金色のオタマジャクシ{アルビノ}(1998/6/26)
--------------------
金色ナマズ{日野市、アルビノ}(1999/6/2)
マンタのアルビノ(1999/6/24)
[青鉛筆]白いウニ{アルビノ}(1999/8/4)
[青鉛筆]双頭の白蛇{アルビノ}(1999/8/7)
--------------------
[青鉛筆]白いアカザエビ:アルビノ(2001/2/15)
--------------------
白いツキノワグマ 生態危機の前兆?(2001/11/9)
北上山系,奥羽との交流なく
近親交配の影響か
アルビノは視覚が充分に発達せず、動作が緩慢
--------------------
幸せ運ぶ? 札幌の円山公園に白いカラス飛来
イチイの木に止まる白いカラス=20日、札幌市の円山公園で 札幌市中央区の円山公園で20日、白いカラスが木々の間を飛び回り、訪れる人たちを驚かせた。イチイの実を食べ、木の枝から愛嬌(あいきょう)を振りまいた。
専門家によると、ハシブトガラスのアルビノ(白子)らしい。園内では10年ほど前から「目撃した」などのうわさが広がっていたが、写真撮影された例は少なかった。
そばに北海道神宮があり、公園を散策する人たちから「神の使い?」「幸せを運ぶ鳥かも」などの声が飛び交った。
(2004/11/21 03:06)
--------------------
home > MYTOWN > 新潟 > 2004年11月20日 更新
新潟おりおり
[鳥類編 (文 石上雅敏)]
ハシボソガラス
嘴細烏(はしぼそがらす)。嘴(くちばし)が細いカラスなのでこの名が付いた。ハシブトガラスと違い、額が出っ張っていない。濁った声で頭を前後に振るようにして鳴く。県内各地で繁殖している。新潟県で比較的多く出現する白いカラス(アルビノ)は、この種で色素を作ることのできない個体である。
--------------------
雑記帳:白いウナギ、養鰻場で2匹見つかる 鹿児島・鹿屋
通常、黒か褐色の背中側が白くなり、茶褐色のまだら模様がある白ウナギ=鹿屋市串良 町の養鰻場で14日 、新開良一写す
◇23日の土用丑(うし)の日を前に、鹿児島県鹿屋市串良町の養鰻(ようまん)場で白いウナギが2匹見つかった。体長約40センチ、重さ約400グラムで、丸々と太っている。
◇普通なら黒い背中が白く、茶褐色のまだら模様も。同県水産技術開発センター(指宿市)は「突然変異などで色素が欠けるアルビノの一種。まだら模様は極めて珍しい」。
◇おけの中でくねくねと動くさまは、一見「白蛇(はくじゃ)」。出荷に追われる養鰻場の松延一彦さん(61)は「白蛇には商売繁盛などの御利益もある。あやかりたい」。【新開良一】
毎日新聞 2006年7月20日 21時55分 (最終更新時間 7月20日 22時09分)
--------------------
オレンジ色のオタマジャクシ11匹見つかる 大分
2006年07月31日08時03分
オレンジ色のオタマジャクシが大分県由布市の水田で、数日のうちに計11匹見つかった。大分市の水族館「うみたまご」に寄贈され、公開を待っている。
オレンジ色のオタマジャクシ=28日午後1時45分、「うみたまご」で
同館によると、この色はメラニン色素が欠けたためらしい。これだけの数がまとまって見つかるケースは珍しく、ペット市場では高額で取引されるという。
さらに見つかる可能性もあったが、水田は現在、水を抜く「中干し」の時期だ。「捕まえに来ても、田んぼはもう干上がっています」と、発見した農家の男性。
--------------------
色違っても仲良し:文京・本駒込に白いスズメ?(2007/2/17)
白いスズメ? 文京区本駒込1丁目の住宅地に、全身のほとんどが白い羽毛で覆われたスズメとみられる鳥が出没している。屋根の上で普通のスズメと過ごす様子を、同所に住む大学4年生の飯田隼矢さん(22)がカメラに収めた。
この鳥は翼の付け根付近の一部だけがやや茶色い。飯田さんによると、周りのスズメと一緒に飛び立つなど、同じように行動している。
山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)の平岡考・広報室長は「体の大きさや体形から見て、スズメに間違いないだろう」とみる。突然変異で色素が抜ける「アルビノ」とみられるという。
「わたしのスズメ研究」などの著書があり、長年スズメの研究をしている長野県在住の佐野昌男さんは「アルビノでも普通は群れにとけ込んでいる。白いから追い払われるということはない」と話している。
--------------------
読者の新聞写真(2007/3/20)
スズメのアルビノ
--------------------
体内丸見え 白いオタマジャクシ
2007年08月04日
若桜町舂米の氷ノ山で白いオタマジャクシが見つかり、「氷ノ山自然ふれあい館 響の森」で飼育されている=写真。
同施設スタッフの岡田珠美さん(31)と夫の純さん(39)が今月9日、オタマジャクシの生態調査のため、氷ノ山で水たまりを観察していたところ、黒いオタマジャクシに交じって白いオタマジャクシが泳いでいるのを見つけた。12匹いたうち、3匹を持ち帰って水槽で飼育。半透明なので藻を食べる口の動きや腸からフンが出て行く様子までがよく見えるという。
オタマジャクシは、事前の調査でモリアオガエルが卵を産んだのを確認した木の枝の下の水たまりで見つけた。白くなるのは遺伝子の突然変異で色素が抜ける「アルビノ」で、アマガエルやトノサマガエルの報告例は多いが、モリアオガエルの報告例はほとんどないという。十万匹以上のオタマジャクシを観察してきた自然環境研究センター(東京都台東区)の主席研究員戸田光彦さん(42)は「発生率は極めて低いでしょう」と話す。
珠美さんは「エサをモグモグ食べているのが面白くてついじっと見てしまいます」とカエルになるのを楽しみにしている。
--------------------
赤目の金魚 量産へ一歩
2007年08月14日
●県、20年かけ品種改良
県水産試験場が開発したウサギのように目が赤い珍しい金魚「アルビノリュウキン」が、名古屋市港区の名古屋競馬場で展示されている。約20年かけて品種改良を重ね、やっと生産のめどがついた。今春から全国有数の金魚産地として知られる弥富市の弥富金魚漁業協同組合の一部で市販化に向けた養殖がスタートしている。(松永佳伸)
アルビノリュウキンは、観賞魚の研究開発に取り組む同試験場内水面漁業研究所弥富指導所が、88年に遺伝資源の実験用として研究を始めた。体質が弱く稚魚の生産が難しかったが、黒い色素が欠如した和金のアルビノ個体とリュウキンとの交雑、交配により、体質と体形の改良に成功したという。
金魚販売量の増加につなげるため、今年5月、弥富金魚漁協の生産者5人に稚魚を配布。本格的な養殖が始まったため、近い将来、赤い目のリュウキンが市場に出回ることになった。
今回は、アルビノリュウキンをPRしようと、競馬場の一角に展示コーナーを開設し、16日まで観賞してもらう。
また、16日の午後3時半~8時、同競馬場内に夜店が出て、金魚すくいなどが楽しめるイベントもある。
--------------------
ピンク、白、緑の3色のクビキリギス発見 大阪・堺
2007年09月07日
堺市東区の山口賀奈さん(33)の自宅の庭で5日、体色がピンク、白、緑のバッタのような虫3匹が見つかった。虫かごで大事に育てている。
山口さん宅の庭で見つかったピンク、白、緑色のクビキリギス=堺市東区で
家近くの草むらが刈り取られ、さまざまな虫が山口さん方の庭の花壇に逃げてきた。娘の小学3年生、安理紗さん(8)と虫取りをしていてピンクの虫に気づき、息子の同5年生、啓太君(10)が白色の虫を捕まえた。
大阪市立自然史博物館の金沢至・主任学芸員(昆虫担当)によると、「クビキリギス」というキリギリスの仲間の幼虫らしい。
周囲の環境によって通常の緑色から褐色まで体色が変わる性質があり、ピンクは褐色の極端なものと考えられるという。白色は体内で色素をつくれなくなったアルビノ(白色変異)の可能性もあるが、成虫にならないと判断できない。金沢さんは「3色そろって見つかるのは珍しい」と話している。
--------------------
今年の2月の「白いスズメ」の写真は、記事の切り抜きとしては持っているのですが、画像ファイルがありません。とってもかわいい写真なのですが。記者の撮影ではなく、読者の撮影のため、著作権保護のため載らなかったのでしょう。
ただひとつ闇に浮き立つ青き星 十一万キロ離れて見れば
(岡山市)梶谷 基一
朝日歌壇 2007.10.22(月)
上の歌に詠まれたのは、この地球の写真です。(このページからコピーされるのは気持ちよくないので、なるべく小さな写真を入れておきます。コピーライトはJAXAとNHKです。)
アポロが月に行った時に撮影した写真より、精細な画像ですね。
宇宙では光が散乱されませんので、周りは本当に真っ暗です。地球はその闇に浮かぶ「いしくれ」です。自ら発光していませんので「星」と呼ぶのもおこがましい気がします。でも、きれいですね。いつのことだったか、地球の国の政治家たちをみんな宇宙に連れて行って、宇宙から地球を見せたら、政治は変わるのではないか、と誰かが言っていたように思います。
多分それは本当でしょう。生物的には「ただ一つの種」である「ヒト」なのに、なんだかんだと「差を言い立てる」ばかりです。人為的な線をはさんで「国」と称して争う。「心の中の出来事」でしかない「宗教」の、そのまた「差」ばかり言い立てて、衝突する。小さな地球を自分たちの活動で温めてしまって。「地球環境保護」なんてウソですよ。危ないのは人類自身です。今、絶滅が危惧されるのは「ヒト」です。絶滅を回避できるかどうか、「種としての智慧」が問われているのです。
◆昨日(21日)夕方近く、ふと窓の外を見たら月が出ていたので写真を撮りました。
「月の兎」が写っていますね。
月齢10日、でしょうか。
兎の話を思い浮かべるのもよし。「かぐや」を思い浮かべるのもよし。
「あの月の周囲を『かぐや』が周っているんだよなぁ」と思って、なんだか嬉しくなりました。
実は、月へ行くかぐやには「私たち夫婦のメッセージ」も載っているのです。とはいえ、どんなメッセージだったか忘れてしまいましたから、何ともドジな話ですが・・・。
おそらく「すべての人と人の間がなぎわたりますように」というようなメッセージだったと思います。
そんなことを思って、月に人工衛星が行く、なんとロマンチックなことだろう、と私などは思うわけです。月の周りを周回する衛星の軌道を精密に観測して、月の組成についての情報を得るなんて、わくわくするような計画です。宇宙のことを知れば知るほど不思議が増していく。人類にとっての宇宙への関心の、その第一歩を導いてくれたのが月と太陽。
「宇宙に住む以上、宇宙のことなら何でもかんでも知りたい。」それってロマンでしょ。
◆かぐやは9月14日に打ち上げられたのですが、10月に入ってからのことを、朝日新聞の記事で追ってみましょう。
「上弦の地球」鮮やか 月探査機「かぐや」が撮影
朝日新聞 2007年10月01日23時55分宇宙航空研究開発機構とNHKは1日、地球を離れ、月に向かって飛行中の月探査機「かぐや」が撮影したハイビジョンカメラによる地球の画像を公開した。
かぐや」からハイビジョンカメラで撮影された地球。右下に南米大陸の西海岸が見える=宇宙機構・NHK提供
画像は9月29日午後9時46分(日本時間)、地球から約11万キロ離れた、地球と月の距離(約38万キロ)の3分の1の地点で撮影された。地球の昼間で太陽の光があたっている南北アメリカや太平洋が写っている。
ハイビジョンによる地球の撮影はスペースシャトルや国際宇宙ステーションから高度約340キロで実施されたことがあるが、約11万キロという距離では初めて。撮影データは宇宙機構の臼田宇宙空間観測所(長野県)で受信され、NHKがデータ処理した。
かぐやは4日ごろ月の周回軌道に入る見込み。月の地平線から地球が昇る「地球の出」の撮影も予定されている。
------------------------------------------------------------
「かぐや」月の軌道に 最大の難関突破 12月から観測
朝日新聞 2007年10月05日13時32分宇宙航空研究開発機構は5日、月探査機「かぐや」を、月を回る軌道に入れることに成功したと発表した。現在、月の高度100~1万1700キロの長円軌道を1周16時間40分で回っている。最大の難関を無事に突破したことで、12月中旬からの観測に向け大きく前進した。
月周回軌道を飛ぶ「かぐや」(子衛星分離後の想像図)=池下章裕氏提供、宇宙機構のフォトアーカイブスから
かぐやは種子島宇宙センターから9月14日に打ち上げられ、超長円のコースで地球を大きく2周した後、月に向かっていた。4日午前5時55分ごろから約25分間、機体の前後を逆にし、エンジンを逆噴射して減速。軌道を調整して月を回るコースに入った。
かぐやは今後、二つの子衛星を順次切り離し、長円軌道を高度100キロの円軌道に変えて約1年間にわたって月を周回する。14種類の観測機器で本格的な観測を12月中旬に始め、月の元素の分布や磁場の様子、地層などを調べる予定だ。
米国のアポロ計画後では最大級の観測で、「月の起源」に迫るデータが得られるのではと海外からも注目されている。
かぐやは、国内外の約41万人の名前とメッセージを載せている。宇宙機構が「月に願いを!」として公募したものだ。
アポロ11号で月面に降りた米宇宙飛行士バズ・オルドリンさんは「月に戻った。さあ火星へ」。SF界の巨匠レイ・ブラッドベリさんは「月の向こうに火星が手招きしている」と寄せた。
------------------------------------------------------------
リレー衛星分離に成功 月の写真もくっきり 「かぐや」
朝日新聞 2007年10月09日19時51分宇宙航空研究開発機構は9日、月探査機「かぐや」がリレー衛星の分離に成功したと発表した。搭載カメラがとらえた月の画像も公開した。
「かぐや」のカメラが約800キロの距離から撮った月。左上3分の2は地球から見えない月の裏側部分=宇宙機構提供
リレー衛星は、同日午前9時36分に正常に分離された。リレー衛星は、かぐやが月の裏側を飛行中に電波を地球に中継する役目を果たす。
公開された月の画像は3枚。アンテナの状態を確かめるカメラが、5日午後2時50分から3時10分にかけて、月から約1500キロ、約1200キロ、約800キロの距離から撮影した。
かぐやは12日ごろ、もう一つの子衛星であるVRAD衛星を切り離す。その後、高度100キロの円軌道で約1年間、月を周回して観測を続ける。
------------------------------------------------------------
「かぐや」と別れ「おきな」「おうな」 衛星を分離
朝日新聞 2007年10月13日02時15分月探査機「かぐや」は12日、二つ目の子衛星(VRAD衛星)の分離に成功した。宇宙航空研究開発機構は、9日に分離した一つ目の子衛星(リレー衛星)を「おきな」、VRAD衛星を「おうな」と名付けたと発表した。かぐや姫を見守るおじいさん(おきな)とおばあさん(おうな)にちなんだという。
12日に分離されたおうなは縦横1メートル、高さ65センチの八角柱の形で、質量約50キロ。月の高度100~800キロの長円軌道を回る。高度100~2400キロの長円軌道を回るおきなとともに、12月中旬から、月の重力場観測に使われる。
重い物質がある領域の上空を通ると、子衛星は通常より月に引き寄せられ、軌道が下がる。二つの子衛星が出す電波を日本と中国、ドイツ、オーストラリアにある電波望遠鏡で観測して軌道の上下を調べ、月内部の質量分布を探る。おきなは、かぐやが月の裏側にある時に、データを中継して地球に送る役割も持つ。
かぐやは長円軌道から円軌道に移る修正を続けており、19日にも高度100キロの円軌道に入る。
------------------------------------------------------------
そして、今朝(22日)の記事。
■かぐや、月上空100キロに 周回軌道から観測開始へ
朝日新聞 2007年10月22日(月)付
宇宙航空研究開発機構は21日、月探査機「かぐや」を月を回る観測軌道に投入することに成功したと発表した。12月中旬までに14種類の搭載機器を点検、アポロ以来の大がかりな観測を始める。
かぐやは、今月5日に月を大きく回る軌道に入り、子衛星を切り離した後、高度を下げて月との距離を縮めていた。18日に地球からの指令を受けて、月の北極と南極の上空を結ぶ高度80~120キロの軌道に。今後1年間、約100キロの高度を2時間ほどで1周しながら観測を続ける。
重力場の影響を受ける低い高度を利用し、月内部の構造を調べたり、岩石の分布やクレーターの形などを調べたりする。ハイビジョンカメラで「地球の出」も撮影する予定だ。中国は、かぐやのライバルとなる月探査機「嫦娥」を24日にも打ち上げるとみられる。米国やインドも無人探査機の準備を進めており、かぐやが月探査ラッシュの火ぶたを切ることになる。
宇宙機構の滝沢悦貞・プロジェクトマネージャは「とても大きなハードルを越えた。新しいデータを社会に出すのがゴールなので、気持ちを新たにしたい」と話した。
------------------------------------------------------------
かぐや:月の観測軌道に入る
高度120キロから「かぐや」が撮影した月面の様子=JAXA提供
高度98キロから「かぐや」が撮影した月面と地球(左上部の点)=JAXA提供 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は21日、月探査衛星「かぐや」が月の観測軌道に入ったと発表した。また、この軌道から撮影した月や、月と地球がいっしょに写った画像を公開した。
かぐやは9月14日に打ち上げられ、月の周回軌道上で2基の子衛星「おきな」「おうな」を分離。10月19日に最終的な観測軌道への投入作業を実施し、高度80~120キロで月を南北に周回する軌道に入った。今後は搭載した14の観測機器の機能を確認し、12月中旬から月の誕生や進化の謎の解明を目指し、本格観測を開始する予定。
画像はアンテナの状態を監視するために取り付けられたモニターカメラで撮影された。高度98キロから撮影された画像には、月の向こうに小さく輝く地球が写っている。高度120キロの画像は、解像度約300メートルで大小のクレーターが確認できる。
毎日新聞 2007年10月21日 18時59分 (最終更新時間 10月21日 19時25分)
------------------------------------------------------------
http://www.jaxa.jp/press/2007/10/20071021_kaguya.pdf
ちゃんとした写真は上のJAXAのプレス発表資料あたりで見てください。
この写真の左上隅に写っているのが、38万kmかなたから撮影された地球です。正式のハイビジョンカメラではありませんから、あまりちゃんとは写っていませんが、それでも、これが地球です。
私は地球から月を見ました。かぐやは月から地球を見ています。
その間には「38万km」の距離があります。何だか不思議ですねえ。感動してしまいました。
◆最後に、もう一首、歌を。
地球からほんの少し跳んでみる蟋蟀百匹孵化せし悦び
(岐阜県)棚橋 久子
朝日歌壇 2007.10.22(月)
甕か、プラスチックの飼育ケースかはわかりません。ちびちょいのが、うわぁ~っと、出てきて、ぴょこぴょこ跳ねるんですね。これはもう、かわいいの一言。体長はmmの桁、ほんの1cm足らずでしょう、ジャンプ力は。
それでも「地球から跳ん」じゃったんですね。かぐやほどではないけど、重力に逆らう力をもって生きていくのです。これ、生命力そのものですね。
いや~、顔がほころんでしまって。もうたまりません。かわいいなぁ。
飼育できる数はほんのわずか、残りは庭へでも放してやらないと、共食いになってしまいます。どうか、無事に飼育できますように、どうか無事に放されたコオロギたちも成長しますように。でも、100匹いれば成虫になれるのはせいぜい1匹程度、というのも自然という世界の厳しい現実なのです。
実は棚橋さんは、もう一首投稿されていまして・・・。
棚は高し引戸は重し蓋は固し夫なき日々のこの不甲斐なさ
朝日歌壇 2007.10.22(月)
一人暮らしになられて、そう長い時間はたっていないのですね。そのなかで、コオロギたちの生命力が与えてくれた「悦び」は、きっと胸を熱くしたのでしょう。生きる力を分け与えてくれたのでしょう。推察いたします。
◆ある時、とある病院の受付で、年配の女性がカウンターの向こうの方にペットボトルを差し出されて「開けていただけませんか。力が足りなくて」とおっしゃいました。受け取った若い方は、「はい、どうぞ」とひねって栓を開けました。
そうなんだ、年齢を重ねるっていうことは、そういうことも含んでいるのか、と気付かされたのでした。
そして、ストレートに開けてほしいと頼んだ女性の「気持ちの強さ」と、それを当り前のように受け止めた若い方の「心のオープンさ」に、うたれたのでした。
◆私たちも、今まさに、年齢を重ねております。
◆朝日新聞の教育面に、いろいろな大学が「秘蔵」する「お宝」の話が載ります。
2007年10月8日に掲載されたのは「キリシタン魔鏡」の話でした。
まずは、引用をお読みください。
----------------------------------------
[お宝発見]キリシタン魔鏡(西南学院大)(10/8)
表はつるつる、裏には松・竹、鶴・亀が描かれている。一見するとどこにでもありそうな直径21.2cm、厚さ4mmの銅鏡だ。しかし、一定の角度から光を照らすと、反射した光があたった壁には、十字架にかけられたキリスト像とそれを見つめる聖母マリアの姿が浮かび上がる。隠れキリシタンが江戸時代にひそかに拝んでいたと伝えられる「キリシタン魔鏡」だ。
実は、表面には肉眼では分からないミクロン単位の凹凸があり、裏面の刻みとあいまって、聖像を写し出すからくりになっている。
所蔵している西南学院大学博物館(福岡県早良区)の学芸員、米倉立子さんによると、同様の銅鏡は約2千年前の中国でつくられはじめ、日本でも仏像や経典を映す魔鏡は各地で見つかっているという。しかし、キリシタン魔鏡は、弾圧の歴史の中で秘蔵されていたため極めて数が少ない。
同博物館のこの魔鏡は、戦後に京都の牧師から寄贈されたものらしいが、詳しい経緯は分からない。米倉さんは「ロマンチックなイメージがあるだけに、謎めいたままの方がいいかもしれないですね」。
----------------------------------------
◆実は、ワタクシ、物理学史の渡辺正雄先生に、大学院時代ご指導を頂きました。渡辺先生は「魔鏡」に関心をお持ちで、深い造詣を有しておられました。京都の確か「山本合金製作所」だったと思うのですが、そこの当主が魔鏡を作製する過程を記録映画化しました。また、その映画中で作製された魔鏡を映画とセットで貸し出して、魔鏡への理解を深める活動もなさいました。
弟子として、私も、新米教師のころに、映画を生徒に見せたりもしたものです。
そんなこんなで、30数年前から、多少は魔鏡のことを知っていたものですから、新聞記事でキリシタン魔鏡の話を読み、面白かったと同時に、オヤ?っと一つ不審点を感じてしまいました。
◆魔鏡というのは青銅鏡です。鋳型に溶けた青銅を流し込み冷やし固めて取り出して、表面を研磨して鏡にします。(鏡面が表、でこぼこの文様のある側が裏です。)
●この鋳型の中で冷え固まる時に、厚い部分と薄い部分で冷却速度が異なって、合金の組成や結晶に違いが出る可能性があります。
●研磨の過程では、体重をかけてすごい力で押しながら磨き上げていきます。
材質の微妙な差が表面に微妙な凹凸として現れる可能性があります。
また、肉厚の違いで押し込まれやすい部分と押し込まれない部分とができ、それによって目には見えない凹凸が表面に形成される可能性があります。
●おそらくこのような原因で、きれいに磨き上げられた鏡面には何も模様が見えないのですが、光を当てて壁に反射光を映すと、裏面の文様が「まるで透けたかのように」映し出されるのです。ですから「魔」鏡なのです。
◆ここまでが、さしあたっての私の知識でした。ですが、記事では、裏の文様は「松・竹、鶴・亀」であり、光を当てて壁に映るのは「十字架にかけられたキリスト像」だというのです。
アレッ、ですね。裏が透けたように映るのではないようです。
◆そこで、朝日新聞にメールで質問をしてみました。以下が、そのメールの内容です。
----------------------------------------
10月8日付、教育>大学欄の「[お宝発見]キリシタン魔鏡」 を読みました。私はかつて、30年以上も前に、大学院の指導教官の渡辺正雄先生という物理学史の先生のご指導で、少しく魔鏡について知ることができました。
青銅鏡は、鋳造で作られ、研磨によって表が鏡面に仕上げられます。何段階もの研磨の最中、砥ぎ師は全体重をかけて砥いでいきます。その結果、鏡の裏の模様で肉厚な部分と肉薄の部分で研磨面に微小な差が出ます。肉薄なところは研磨時に押し込まれ、むしろ、肉厚な部分がわずかながらに多めに削り取られます。この微妙な差は肉眼では分かりませんが、光を当てると、表面の微細な凹凸が明暗として拡大され、壁面に画像ができるわけです。
さて、基本はこうだと思うのですが、この説明だと、魔鏡が映し出すのは、裏面の模様を反映したものになるはずです。実際、普通の魔鏡は、あたかも裏の模様が透けたかのように像が映し出されることにおいて「魔」の鏡であるわけです。
記事によりますと、
「表はつるつる、裏には松・竹、鶴・亀が描かれている。一見するとどこにでもありそうな直径21.2センチ、厚さ4ミリの銅鏡だ。しかし、一定の角度から光を照らすと、反射した光があたった壁には、十字架にかけられたキリスト像とそれを見つめる聖母マリアの姿が浮かび上がる。隠れキリシタンが江戸時代にひそかに拝んでいたと伝えられる「キリシタン魔鏡」だ。」
とあります。ということは「裏が透ける」わけではないのですね。
となると、可能性は二つでしょうか?いずれにしても最初は裏にキリスト像のある鏡を鋳造し、魔鏡として仕上げるのでしょう。その後1:松・竹、鶴・亀の入った鋳型に魔鏡の裏で蓋をするような形で鋳型とし、再度、青銅を流して新たな裏面を作る。→鏡の内部に空間はない。
2:松・竹、鶴・亀を鋳込んだ青銅板を、キリスト像を覆い隠すように重ねて、(どのようにするかはわかりませんが)接着し、一枚の鏡とする。→鏡内部に空間がある。いずれにしても、通常の魔鏡より厚くなると思われます。X線でも当ててみればすぐわかるでしょう。
実際にはどうなのでしょう?とても知りたいところです。下肢障害者の私が西南学院大学まで実物を見に行くことは生涯ないでしょう。できることなら、その答えをご教示いただければ幸いなのですが。お願いできませんか?
私は、謎めいたものにロマンを感じる性質ではありません。謎が解けていく過程に、解かれた謎を知った上でなお、それを作りだした「人間のこころとわざ」にロマンを感じるものです。
2007.10.15(月)○○○○ 無職。59歳。元都立高校理科教諭。
----------------------------------------
◆そうしたら、さっそく親切な回答を頂きました。10月16日でした。
----------------------------------------
○○さま初めまして。朝日新聞の記者をしております○○と申します。先日は「お宝発見」についてメールをいただき、ありがとうございました。
魔鏡の仕組みについてのお問い合せでしたが、これは2枚の銅鏡をあわせた2重構造になっているそうです。キリスト像は内部にあり、外からは見えないかたちになっています。
なお、同型の鏡は神奈川県大磯にある澤田美喜記念館 (エリザベス・サンダース・ホーム創立者)にもあるようです。
簡単ではありますが、このような回答でよろしいでしょうか。
また何かありましたら、ご遠慮なくおっしゃってください。
----------------------------------------
◆疑問解決です。さっそくお礼を書きました。10月16日です。
----------------------------------------
○○さま
さっそく回答いただきましてありがとうございました。
2つの推測の一方が当たっていたようで、喜んでおります。
渡辺先生が監修されたのだったと思いますが、京都で魔鏡を復元する試みを行った映画が作られました。砥ぎ師が全体重をかけて研磨していく姿を見ると、これだけ力を込めたら、堅い金属にも厚みによって凹凸ができるのだろうな、と納得した思い出があります。
大学院を出てから教師になり、最初に勤めた中学校で、この映画を生徒に上映して見せ、魔鏡の実物を生徒に見せて驚かせたこともあるのです。
そんなわけで、少し魔鏡に関心が深かったものですから、お尋ねをしました。お忙しい中、調査・回答いただきましたこと、御礼申し上げます。自己宣伝
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/
など、勤務時間外にでもご覧ください。私の”個性”がにじみ出ております。
このホームページやブログでも、朝日新聞を多用させて頂いております。「お宝発見」では、死の灰、エジソン・ダイナモ、オオカミのはく製・・・いろいろ"紙の切り抜き"もし、Asahi.comからの"e切り抜き"もさせていただいております。
「教師眼」がいまだ抜けませんで、「これは使える!これは教材化できる」と、そんなまなざしで、ついつい理科系の記事を読んでしまいます。「もうそういうこともないのにな」と後から苦笑しつつ、でもやめられません。
今後も朝日新聞を大いに利用させて頂きますので、よい記事をお書き下さい。楽しみにしております。
----------------------------------------
◆一応これで当初の疑問は一件落着なんですが・・・。
●山本合金製作所では、魔鏡を販売しています。興味のある方はご覧ください。
http://www.shinise.ne.jp/highgrade/yamamoto/
ここでは、裏面に、阿弥陀像があって、光を当てると壁に阿弥陀像が写しだされている写真も見られます。
http://www.shinise.ne.jp/options/shinise/od_goods.asp?temp_id=5587&shp=141
魔鏡ペンダントもあるそうです。
●ウィキペディアです
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%A0%E3%82%8C%E5%88%87%E6%94%AF%E4%B8%B9%E9%8F%A1
エリザベス・サンダース・ホーム所有の鏡と同型鏡だという話が載っています。
●三枚の兄弟「キリシタン魔鏡」の発見の話。
http://jpnews.org/pc/modules/xfsection/article.php?articleid=901
・・・
魔鏡とは、一見普通の鏡だが、鏡面に光を反射させて壁に投影すると、画像が映し出される“からくり”を施した銅鏡のこと。江戸時代盛んに作られた。隠れ切支丹鏡は、さらに手が込んでいる。一般の魔鏡は裏面の模様と同じ画像が壁に映るが、切支丹鏡は異なる画像が映し出される。裏面は松、鶴、亀だが映るのは、十字架に掛けられたイエスを二人の人物が拝んでいる画像なのだ。これは、内部が二重構造になっており、キリスト像の“しかけ”が隠し込まれているため。レントゲン写真で確認されている。
・・・
●当の、西南学院大学のホームページもご覧ください。
http://www.seinan-gu.ac.jp/museum/tenjihin/index.html
ここから「③魔鏡」をクリックしてください。裏の文様と映し出される像がはっきり見られます。
http://www.seinan-gu.ac.jp/spirit/no161/special_2/index.html
ここもお勧めです。
----------------------------------------
◆さて、私の個人データベースで、「魔鏡」を検索したら、意外や、今年初めに別の魔鏡の話がありました。
●国立科学博物館で開催された「ものづくり展」に直径約1mの魔鏡が展示されたのだそうです。
面白かったでしょうね、見たかったですね。「歩かない案山子」さんにはちょっと残念なことでした。
----------------------------------------
世界最大級の「魔鏡」、近畿大のグループが作製
2007年01月16日
江戸時代の隠れキリシタンが使ったことで知られる「魔鏡(まきょう)」ができる仕組みを調べるため、近畿大学(大阪府東大阪市)の米田博幸教授(鋳造工学)のグループが、直径約1メートルの魔鏡を作製した。米田さんは「魔鏡としては世界最大級ではないか」と話している。16日に国立科学博物館(東京都台東区)で始まった「ものづくり展」で展示されている。
光が鏡(右)に当たると、壁(左)に「和」の文字が映し出された=16日午前、東京・上野の国立科学博物館で
魔鏡は古代中国などにもある。日本の隠れキリシタンの魔鏡は青銅製で鏡面には何もないが、光を当てると壁にキリスト像などが現れる。
米田さんらは、壁に「和」という文字が浮かび上がる、直径約1メートル、重さ約80キロのステンレス製の魔鏡をつくった。
鏡面の裏に「和」という字が突き出るように鋳込んだ。これを隠すため、裏に銅合金の板を張り合わせる。表を約2カ月かけて手作業で磨き上げると、裏の字形に沿って鏡面に1千分の1ミリほどのへこみが生じる。へこみで光の反射角度が変わって光が集まる部分ができ、壁に文字が浮かび上がるという。
米田さんは「裏に文字を鋳込み、固まる段階で鏡面にたわみが生じている可能性がある。裏に文字がついた厚みのある部分はやわらかく、研磨されやすいのではないか」と話している。
----------------------------------------
職人の技、日本の誇り 「ものづくり展」上野で 世界最大級の魔鏡も
2007年1月16日日本の素材加工技術を紹介する「ものづくり展」が16日、東京・上野の国立科学博物館で始まった。2月18日まで。
団塊大量退職も始まり、技術継承が懸念される。日本の技術力を再認識してもらう目的で経済産業省が企画した。
新潟県燕市の研磨職人のべ200人が5日かけて表面を鏡のように磨きあげた車や、鋳物職人が作った巨大な地球儀なども登場。加工技術の高さを披露した。
同博物館の鈴木一義研究員は、「職人が支え続けた技に、日本の誇りを感じてほしい」と話す。
「ものづくり展」には、近畿大学(大阪府東大阪市)の米田博幸教授(鋳造工学)のグループが作製した直径約1メートル、重さ約80キロのステンレス製の魔鏡も展示されている。「魔鏡としては世界最大級ではないか」(米田さん)という。
作製された魔境は、壁に「和」という文字が浮かび上がる。鏡面の裏に「和」という字を鋳込んだ。これに銅合金の板を張り合わせて隠し、表を約2カ月かけて手作業で磨き上げた。裏の字形に沿って鏡面に1千分の1ミリほどのへこみが生じ、光の反射角度が変わって壁に文字が浮かび上がる仕組みだ。日本の隠れキリシタンの魔鏡は、キリスト像などが現れる。
将来的には半導体材料のシリコンウエハーやハードディスクの鏡面の検査、製品研磨工程管理の改善にも役立つという。
【写真説明】
〈鋳物の地球〉 鋳物職人が作り上げた直径1.7メートル、重さ約8トンの地球儀=いずれも久松弘樹撮影
200人の磨き のべ200人が鏡のように磨き上げた車
----------------------------------------
◆さてさてところで、なんとまあ、よく考えてみたら、私も魔鏡を持っているはずでした。
教師現役時代に、理科教材カタログを眺めていたら、「魔鏡」がリストにあったのですね。で、教材屋さんから私費で購入したのです。なんだか、はるかに昔の感じで、忘れていたのですが、思い出して、教材の山(正直なところガラクタの山)を「発掘しました」。良く山崩れを起こさなかったものです。
お目にかけましょう。
直径7cm弱の小さなものです。
箱に「西漢見日之光鏡」とありますので、オリジナルがあってその復元なのでしょう。
左から、箱、魔鏡の裏、表、です。表には、机の上のスタンドが写り込んでいます。
さて、この魔鏡に夕方の太陽光を当て、壁に白紙を貼ってスクリーンとして映した像を撮影して見ました。同じものですが、2枚お目にかけます。
◆裏の文様と違って、仏様でしょうか、手を合わせているような姿が映し出されています。
購入時には全然意識していなかったのですが、この魔鏡、裏の文様が透けて映るタイプではなくて、中に文様を隠してあるタイプだったのですね。うかつなことでした。
----------------------------------------
◆記憶はさらにさかのぼり、私が自作した青銅鏡があることを思い出しました。魔鏡ではありません。青銅で鏡が作れるよ、ということを生徒に見せるための自作教材です。
◆どういう使い方をするかというと。
「金属の性質」のところです。金属には自由電子というものがあって、電子が原子の格子全体の共有物になり、自由に動けるようになっている。その結果として金属の性質が説明できる、というところです。
金属の性質としては、電気をよく伝える、熱をよく伝える、展性・延性がある、金属光沢がある、ということを自由電子との関連で説明します。
そうして、金属光沢のデモンストレーションとして、自作の青銅鏡を生徒に見せるのです。
これが自作の青銅鏡の表裏です。表の写真を撮るときに、新聞記事を立ててその前で写しましたので、新聞の文字が写っているのが判ると思います。ただの素人が作った青銅鏡でも、ちゃんと鏡としてものを映すのです。
この青銅鏡の成分は、銅:亜鉛=2:1になっています。
夏休みの暑い日でした。るつぼを2本のガスバーナーで加熱し、まず亜鉛を融解します。そこへ、銅片をピンセットでつまんで入れると、スルスルっと銅が溶け込んでいくのです。これはとても面白いです。(暑いけど)。
用意した銅を全部溶かしたら、るつぼをるつぼバサミで持って、耐熱ガラスの上に中身を流し出します。
冷えたら、粗砥、中砥、仕上げ砥の順に、表を磨いていきますが、このレベルではまだ鏡面にまではなりません。
チューブ入りの研磨剤を買ってきて、布やティッシュペーパーにつけて、鏡面仕上げをしていきます。
顔が映るようになると、うれしいですよ~。そこまで砥ぎあげるのに、大人の私の腕力で2~3時間かかったと思います。
後に、同僚の先生のお子さんと、夏休みの「理科教室」として、この青銅鏡づくりをやらせてあげましたが、小学生だと数時間かかりますね。根気のいることです。
----------------------------------------
◆授業でよくやった、オマケの話。
「金属の性質が、歴史的な昔の金属だからといって変わるものではない。青銅鏡はよく映る鏡だったんだよ。」
「発掘されて青緑色に錆びた鏡の『裏』しか博物館などでは展示していないのだが、一枚くらい磨いて展示してほしいと思うんだよ。」
「発掘された現物でなくてもいい。成分を同じにして作って磨いたっていいじゃないか。」
「人は、『今・現代が最高で、昔は劣っていた』と考えがちでしょ。だからと言って、昔の鏡が劣っていたわけではないんだよ、金属の鏡は今も昔も変わらず良く映るのだ。」
「歴史というものを考える時『今』というポイントから、過去へ向かって『測深線』を下してはいけないね。その時代に立って考えるべきだろう。『もの』や『人』の性質が時代によってそうそう大きく変わるものではない、それは信頼してよい。」
「江戸時代になるとね、鏡砥ぎの職人が江戸市中を天秤担いで歩いていたらしい。そうやって生活ができるほどには鏡は普及していたはずなんだね。こまかい目のやすりをかけ、水銀メッキを施して鏡面を曇りなくピカピカに磨き上げたてくれたのだと思うね。」
「そういう鏡を見ながら、白粉(おしろい)をはたき、眉を引き、歯を磨き、鉄漿(おはぐろ)をつけ、唇に紅を引き、髪を整え・・・、こんなふうにお化粧をしたんだね。」
こんな具合です。想像してください。
朝日新聞の10月13日付、「be evening」という紙面の「花まる先生 公開授業」という連載で、「あまりはだれのもの」という記事が掲載されました。小学校3年生の算数の授業で「あまりのある割り算」の単元の導入だそうです。
この授業で
8+3+2+7=20
20÷4=5
という計算での教材です。記事から引用します。
------------------------------------------------------------
「よし、検証しましょう」
20個ボールの入った箱が出てきた。先生は教室の四隅の席の子にボールを投げていった。1人5個でちょうど。割り切れたわけだ。
さらに廊下から「魔法の連結ペットボトル」を持ってきた。4本のペットボトルがぴったりとくっついている手作り教材。色の付いた水がそれぞれ8割、3割、2割、7割入っているのがわかる。
「『一緒になーれ』『一緒になーれ』といってください」
声に合わせ担任の先生がボトルの栓を開けると、水が増減し、一瞬ですべてが5割の量になった。
「すっげーっ」
空気圧を使った「マジック」に、みんなひざ立ちになった。
------------------------------------------------------------
記事では、ここに「ふたを開けると4本の水が同量になる『魔法の連結ペットボトル』で割り算を教える○○先生」という写真が掲載されています。
ここでは、私が描いたイメージをご覧ください。
●左端が出発の状態です。各ボトルは多分底近くで連結されているのでしょう。8,3,2,7の目盛りまで水が入っています。
●中央。実際の授業では、順番にフタを開けていくのでしょうが、便宜上、いっぺんにフタが全部開いたとします。
●しばらく、上下を繰り返して、右端のように5目盛りのところで、全部均等に落ち着きます。
この出来事が、3年生にとっては驚きであり、「マジック」のように見えるのでしょう。
●さらに、「はってん はっけん」というコーナーの一部を引用します。
------------------------------------------------------------
・・・
「魔法の連結ペットボトル」は、北九州市の先生のアイデアで作られた教具です。ペットボトルをつないでいる面に小さな穴があいているため、ふたを取ると、空気圧で同じ量になります。構造を突き詰めれば、理科につながります。
・・・
------------------------------------------------------------
とありました。
◆さて、「空気圧」という言葉が2回でてきました。この出来事を説明するのに、空気圧のせいだよ、というのはどうも不正確な気がします。
むしろ、水圧で考えるべきです。
◆結論的には、「空気圧で同じ量になる」のではなく、空気圧がどのボトルでも同じになってしまうので、高さの差を支え切れなくなって、水圧の高い方から、低い方へ水が流れて、最終的に水面が同じ高さになる、とするべきだろうと考えます。
◆この間の長たらしい思考を、ブログに書くのはちょっときつかったので、ホームページの方に書きました。興味のある方は是非お読みください。
◆おまけとして「マリオットのビン」という面白い装置の話も付け加えてありますので、ヨロシク。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/renketu.htm
↑こここです。
さざん‐か【山茶花】 (字音サンサクヮの転) ツバキ科の常緑小高木。四国・九州の暖地に自生。高さ約3メートル。葉は厚い。秋から冬にかけて白花を開く。八重咲・一重咲、淡紅・濃紅など園芸品種が多く、庭園・生垣などに植栽。種子は大きく、油を採る。材は細工物にする。ヒメツバキ。漢名、茶梅。[広辞苑第五版]
なんだか季節感が狂うなぁ。冬の花という感じがあるのですが、今なのかなぁ?
童謡に「たきび」ってありますよね。しもやけの季節に山茶花が咲いているんですが・・・
さざんか さざんか さいたみち
たきびだ たきびだ おちばたき
「あたろうか」「あたろうよ」
しもやけ おててが もうかゆい
「こがらし」とか「きたかぜ ぴいぷう」とかいう歌詞もありました。今はまだ秋雨前線が残っているようなときなんですけれど・・・。
宇宙説満月の夜は考へず
(北九州市)田中玲子
(2007年10月14日 朝日俳壇)
稲畑汀子さんの評:科学の発達で、いろんなことが解明される時代になった。でもでめて中秋の名月ぐらいは夢を持って仰ぎたいと作者は思う。身近な宇宙を月に託した秀句。
どうもねぇ、科学と夢、科学とロマンなどが相反するものだという感覚が広く行き渡っていましてねぇ。そうじゃないんだけどなぁ。
かつて、月面に人が立った時、月のロマンが失われた、と嘆く人がいました。そうですか?今見る月は、月面に人が立つ前より、夢がやせ細った月ですか?
今、日本の「かぐや」が月の観測をすべく月を周回し始めました。その結果、月はやせ細りましたか?
いえいえ、科学が進めば進むほど、ロマンは増えていくのです。夢は豊かになるのです。
夢、ロマン、神、仏・・・これらはみんな「人の心の中」のものです。いろいろなことを知れば知るほど心の奥行きも深まります。その結果、心の中の「もの」たちも深まるのです。
宇宙は "uni"verse といわれてきました。「uni」は「ひとつ」ということです。でも最近の「宇宙説」では、"multi"verse である可能性まで議論されています。ひょっとして、宇宙は一つではないのかもしれません。
宇宙の始まりと、原子よりも小さな素粒子の世界が全く一つに絡まりあっています。
人類は、目に見える「太陽と月」から出発して、宇宙に関心を持ち、宇宙を調べ、自らのよって立つ「地球の出自」を知ろうとし、宇宙の果てまで、「ここ」そして「いま」というところから展望しようと努力してきました。
これって、壮大なロマンでしょ。
地球外から地球を見、惑星の姿を鮮明な画像で見、太陽系を一望する画像を得、人類がかつて持ち得なかった「眼」をもてるようになったではないですか。
中秋の名月を見ながら、心の中に深まったロマンをものぞきこんでみませんか。
科学がもたらす知識は心を深くし、人の心の営みをも深くするものだと、私は考えています。
鉦叩安否を問はれゐるごとし
(柏市)嶋崎茂子
(2007年10月14日 朝日俳壇)
カネタタキの声を聞くこともほとんどなくなりましたね。静かな夜に、チン、チンとかすかな、そして方向感の定めにくい声をよく聞いたものです。短い翅を立ててこするんです。かわいいものです。見つけるのは難しかったですね。
あの音を聞いて「安否を問われているようだ」という捉え方はみごとですね。
静かな情景が際立ってきます。秋も深まっていきます。荒々しい夏と違って、心の向きも内向的。カネタタキが細かな波紋を心の水面に立てました。
姿をご存知ない方のために
http://www.insects.jp/kon-koorogikanetataki.htm
こんなところをご覧ください。
こほろぎや猫を飼いたしもう一度
(大津市)山中昌子
(2007年10月14日 朝日俳壇)
コオロギは可憐な声で鳴きます。ですが、昆虫ですから体温がありません。コオロギにも心はある、と私は思っていますが、心の交流まではさすがにありません。
猫はそれに比して、抱けば衣服を通して伝わってくる、あの温かい体温、しなやかな体、心の交流、飼育ではなく、同居ですよね。
私は今59歳。今いる2匹の猫も高齢。この後、もう、新たに猫と生活することはないでしょう。猫が15年生きたら、私は生きていれば70代ですか80代ですか。猫に対して確実に「生きていてあげるからね」とはいいかねます。責任を取れないかもしれないのに新たな生活を始めるのは無責任だと思っています。
夫婦が残ったら、1年ごとに区切りのつく、チョウの飼育などを楽しみましょう。大空へ旅立ってゆくチョウに心を乗せて楽しみましょう。
生きるということは責任重大ですね。
「貸ソカナマア当てにスナ・・・」と学びけり生涯化学を離れ得ざりき
(愛知県)林 成一郎
(2007年10月14日 朝日歌壇)
永田和宏さんの評:括弧内は原子のイオン化傾向の代表的な覚え方。私もこれでした。
◆永田さんは、京都大学再生医科学研究所教授で、細胞生物学者です。一方で、京都大学に在学中から短歌を始められたのだったと思います。1947年生まれで、私より1歳年上、いわゆる団塊の同世代です。(私は大学時代に俳句ゼミなんぞに入っていましたが、まるっきり散文しか書けない能なしです。才能ってやっぱり偏在するんだなぁ)。
同じころに高校生だったのですから、イオン化傾向の暗記法もやはり同じです。日本の化学教育の、いったいいつ頃からこの暗記法が伝わっているのでしょうね?知りたいものです。
◆為念
K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb (H) Cu Hg Ag Pt Au
これがイオン化傾向というやつです。
古典的には、「貸(そう)かなまああてにすんなひどすぎる借金」
こう覚えるわけです。
こんな流儀も知っています。「かかるな まああてにすな 水道水銀白金」
「(H)CuHg」を「水道水」と読ませています。
化学教師としての私は「K(かね)」「Ca(貸)」「Na(そうか)」というバリエーションで教えました。Naは英語でsodiumuですから。
◆とはいうものの、このイオン化列ですが、あんまり細部にわたっての意味はないんですよ。
Mg Al Zn Fe (H) Cu Hg Ag Au
こんなもので十分じゃないでしょうか。一応、水素をはさんで、酸と反応するかどうかがわかります。電池の負極材料としてZnが多用されるのもわかります。K,Ca,Naなどは水と反応してしまうんで、普通には電極にもならないし。Li電池で金属リチウムを使うタイプは有機電解質が必要です。
人間の歴史の中で、金銀は自然に金属として発見されるものから使用が始まりましたので、歴史も古いです。銅は自然銅もあるし、還元も比較的低い温度で可能ですから「青銅器時代」がきますね。鉄の還元には「ふいご」という技術が必要で、歴史的にあとになります。さらにアルミニウムの還元には電気が必要なので、とても新しい金属です。と、イオン化傾向と世界史、なんてのも、これで十分でしょう。
◆詠み手の林さんは「生涯化学を離れ得ざりき」とおっしゃっていますが、どのようなお仕事をなさっていたのでしょうか。
私は基本は化学教師でしたが、物理も長く教え、生物も地学も教え、雑多な教師でしたことよ。結局、好奇心のみで生きてきたのでした。これからも。
◆永田さんの夫人は女性歌人として有名な河野裕子さんでいらっしゃいます。
「桜花の記憶」で角川短歌賞を最年少で受賞なさったのですが、そのタイトルになった歌を引用しておきましょう。
夕闇の桜花の記憶と重なりて初めて聞きし日の君の血のおと
抱擁して相手の心音を聞く、という、みずみずしい歌でした。
◆河野さんを思い出したら、もう一人私と同時代人の道浦母都子さんも思い出してしまいます。
ガス弾の匂い残れる黒髪を洗い梳(と)かして君に逢いにゆく
私は、催涙弾のガスを浴びて一方的に打ちのめされていた「ノンセクト・ラジカル」でした。あの「匂い」を共有する同時代人ではあります。
馥郁と金木犀の香の流れ水路のごとき裏路地の空
(東京都)吉富 憲治
(2007年10月14日 朝日歌壇)
キンモクセイの花についての観察や、雄の木しかない話などはもうしました。
この香り、あるときフト気づくと、ずっと意識されるようになりますね。
「ふと気付くと、後ろから追いかけてくるような香り」と、妻が言いました。
「きみって しじん じゃないか」
「そういうわけさ」
20数年も前に、子を胡坐の中に抱えて読み聞かせた、レオ・レオニの「フレデリック」を踏んだ会話です。来るべき冬に向けて、「ひかり」や「いろ」や「ことば」をいっぱい蓄えておきたいですね。
人生もいずれは冬へ向かいます。そのときに豊かな言葉をもっていられたらいいな。
我ら夫婦は「社会的役割としての『おじいちゃん・おばあちゃん』」を受け入れることに何のためらいもありません。
年齢を重ねることでのみできるようになる役割、を大事にしたいな。
昨日、虫食い算の話をした時に、尺貫法が登場しました。
しゃっかん‐ほう【尺貫法】長さの単位を尺、体積の単位を升、質量の単位を貫とする日本古来の度量衡法。1921年(大正10)までわが国の基本単位系、59年の尺貫法廃止施行により、取引・証明に使用できなくなった。現在はメートル法が使われる。[広辞苑第五版]
1959年、私は11歳でした。ということは、私の子供時代は「尺貫法」の時代だったのですね。いやぁ~古いや。
母親は「鯨尺」の竹製ものさしで裁縫をしていました。大工さんは「曲尺」でした。
くじら‐じゃく【鯨尺】ものさしの一。もっぱら民間で布を計るのに用いられ、その1尺は曲尺カネジヤクの1尺2寸5分(約37.9センチメートル)に当る。もと鯨ひげでつくったから、この名がある。鯨差。
かね‐じゃく【矩尺・曲尺】(金属で造るからいう)。①形が矩形、すなわち直角に曲ったものさし。大工金ダイクガネ。かねざし。かね。鉄尺。まがりがね。②長さの単位の一。単に尺ともいい、1尺は約30.303センチメートルにあたる。また、この寸法を用いたものさし。かね。[広辞苑第五版]
7歳ころまで、内風呂はなく、銭湯に行っていたのですが、そこにある体重計は目盛が「貫」と「匁」だったのです。
これは印刷物のクロースアップですので、印刷の網目がかかっていて細部ははっきりしませんがご容赦ください。
もとは、朝日新聞販売店が出しているタウン情報誌「タウンボイス(大田・品川配布)」 のNo.38 2007・5 (平成19年5月6日)にのっていた写真です。
大田区久が原の「益の湯」という銭湯に今もある体重計だそうです。真ん中の白いところに「25貫 100kg」と書いてあるようです。おそらく目盛の外側にはkgの目盛が、内側には貫の目盛が刻んであるように思われます。
1貫は3.75kgです。ということは、25貫まで目盛があれば93.75kgまで測れますので、ちょうどkg目盛とほぼ同じ範囲になります。
子どもの頃は、お風呂屋さんに行くと、素っ裸のまま脱衣所を走り回って、体重計にも乗り、「~~貫になった!」と自分の体重を読んで、大きくなりたい、と思ったものです。
肉は「匁」で買いましたよ。話がチョウ古いですね。
ところで、小学生のころ、学校が終わって帰宅途中、友達と一緒に帰ってきてさあ最後分かれて家へ、というところで、大声でばかなことを叫びあったものですが、今の子供たちはあまりそういうことはしませんね。
「おまえの かあちゃん で~べそ」「ひゃっかんデブ」とかね。
百貫もあったら375kgですから、お相撲さんどころではないのですが、よくばかな大声を上げたものです。子供は大声を出すのが面白いし、大人が眉をしかめるようなことをいうのが好きだし、ナンセンスな言葉遊びが好きだし、決して仲たがいしてののしりあっているのではなく、ひたすら大声を出し合って、スッキリと帰宅したものです。
まあ、わらべ唄の一種のようなものでしょうか。大人だって無駄口・地口というやつを一杯やってましたよね。このごろは「おやじギャグ」とかいわれてしまって、つまらないこと甚だしいですが。
今、「お尻かじり虫」というのがヒットしているようですが、まあ、言葉遊び、汚い言葉など、子供が飛びつく要素をそろえてますよね。まあ、そういうことでしょう。大人が用意してやったものがうけるというのもチョットさびしいですが。
朝日新聞の[疑問解決モンジロー]にもそんな話が出ていました。
2007年8月27日の朝刊でした。
お決まりの悪口、由来は?
子どものころ、けんかをしたときに、いろいろな決まり文句がありました。「おまえの母ちゃん、デーベソ」や「でーぶ、でーぶ百貫でぶ」などはよく使いましたし、言った言わないでもめた時には「何時何分何秒、地球が何回、回ったとき?」というフレーズもありました。こうした言葉の由来などについて調べてください。
(東京都新宿区 主婦 ○○さん 53歳)
比較的世代の近い方のようで、懐かしく読みました。別にけんかじゃなかったんですがね、男の子にとっては。毎日のあいさつのようなものでした。
肉桂の葉につく虫がシナモンの香りを発し蝶となり翔ぶ (八王子市)多田喜代治
(朝日歌壇 2007年10月14日付)
さて、この歌を読んで、肉桂の葉を食草とするチョウとは何だろう?と考えたのです。
実に、私の植物に関する知識の乏しさを露呈する発想でした。
にっ‐けい【肉桂】 ①クスノキ科の常緑高木。インドシナ原産の香辛料植物。享保(1716~1736)年間に、中国から輸入。高さ約10メートル。樹皮は緑黒色で芳香と辛味がある。古来、香料として有名。葉は革質で厚く、長楕円形。6月頃葉腋に淡黄緑色の小花をつけ、楕円形黒色の核果を結ぶ。
ニッケイ
② ①の樹皮(桂皮)を乾燥したもの。香辛料・健胃薬・矯味矯臭薬とし、また、桂皮油をとる。にっき。シナモン。 [広辞苑第五版]
肉桂はクスノキ科でした。ということは、「シナモンの香りを発し蝶と」なったのはアオスジアゲハなのですね。調べなくてもパッと判ればカッコよかったのにな。
ネットで調べてみたら、やはりアオスジアゲハの食草として、クスノキ科のクスノキ、タブノキ、ヤブニッケイ、月桂樹などが挙げられていました。
アレッ、月桂樹ってクスノキ科だったんだぁ、とまたまた恥さらし。
げっけい‐じゅ【月桂樹】クスノキ科の常緑高木。地中海地方の原産。高さ数メートル、葉は硬い革質、深緑色。雌雄異株。春、淡黄緑色の花を開き、果実は暗紫色、楕円状球形。葉・実共に芳香があって月桂油をとり、香水や料理の香辛料とする。デザインではしばしばオリーブと混同されるが、本種の葉は互生、オリーブは対生なので区別できる。ローレル。ロリエ。[広辞苑第五版]
やぶ‐にっけい【藪肉桂】 クスノキ科の常緑高木。西日本の山地に自生。幹は高さ約15メートル。樹皮はニッケイにやや似た香気と渋味とを持つ。葉は長卵形で革質、光沢がある。夏、葉腋に長い花軸を出し、淡黄色の小花をつける。果実は液果で紫黒色。木材を器具・薪炭用とし、種子から肉桂脂をとり薬用とする。コガノキ。クスタブ。メカツラ。松浦肉桂。[広辞苑第五版]
たぶ‐の‐き【椨】クスノキ科の常緑高木。暖地の、特に海岸近くに自生し、高さ15メートル余に達する。樹皮は暗白色。葉は長楕円形で肉厚く、光沢を有する。春、黄緑色の小花をつけ、球形の液果は紫黒色に熟する。葉・材に精油を含み芳香がある。材は装飾器具材、樹皮は褐色の染料、葉や樹皮から得た椨粉タブコは線香を固める糊
料。タブ。イヌグス。楠仔木。[広辞苑第五版]
私たち夫婦はアゲハが好きで、就中(なかんづく)アオスジアゲハが大好きで、アオスジアゲハを飼育したくて、食草のクスノキ(樟・楠)を育て始めたというちょっとマニアックな夫婦なんですが、他のクスノキ科には目が及んでいませんでした。
くす‐の‐き【樟・楠】(クスは「臭し」と同源か。「楠」は南国から渡来した木の意) クスノキ科の常緑高木。関東以南の暖
地、特に海岸に多い。高さ20メートル以上に達し、全体に佳香がある。5月頃、黄白色の小花をつけ、果実は
球形で黒熟。材は堅く、樟脳および樟脳油を作る。街路樹に植栽し、建築材・船材としても有用。くす。樟脳の木。[広辞苑第五版]
作品をいじってはいけないのですが、上掲の歌の「肉桂」のところを「クスノキ」に、「シナモン」のところを「ショウノウ」に、置き換えて読んでみてください。私にはそれも十分に情緒あるものに感じられるのでした。とにかく、アオスジアゲハは大好きです。
追記1:
しょう‐のう【樟脳】(camphor) 分子式 C10H16O 無色半透明の光沢ある結晶で、特異の芳香をもつ。水には溶解せず、アルコール・エーテルなどに溶解。クスノキの幹・根・葉を蒸留し、その液を冷却すると結晶が析出する。精製するには再び昇華させる。ピネンを原料として合成もされる。セルロイド・無煙火薬などの製造、防虫剤・防臭剤・医薬などに使用。カンフル。[広辞苑第五版]
「蒸留」と書いてありますが、化学屋のセンスからすると、これは「水蒸気蒸留」でしょう。液体を沸騰させて蒸気を冷やして、という蒸留ではないはずです。
葉などを詰めたフラスコに、100℃の水蒸気を吹き込みます。初めは凝結するでしょうが全体が温まれば蒸気が流出してくるようになります。この蒸気にショウノウの蒸気も含まれているので、冷却すれば粗ショウノウが得られるはずです。
カンフル【kampherオランダ・camphorイギリス】精製樟脳。防腐・防臭剤として用いるほか、大脳の運動野、呼吸中枢、血管運動中枢を刺激し、またその体内での酸化代謝産物に心臓の収縮力を増大させる作用があるので、呼吸循環の興奮剤として一時ひろく使用された。[広辞苑第五版]
「カンフル剤」という強心剤が昔は実際に使われたのでしょうね。ショウノウにちょっと化学的な処理をして水溶性を持たせたのではないでしょうか。それにしても、なんだか心臓だけでなく体中がビックリしそうですね、ショウノウを注射されては。
今は使われないのだと思っています。言葉として「比喩的に、普通の手段ではどうにもならなくなった物事を回復させる非常手段。[広辞苑第五版]」が生き残ったのではないでしょうか。
追記2
以下は私の想像です。
アゲハの食草がかんきつ類、アオスジアゲハの食草がクスノキ科、キアゲハはセリ、ハマウド、シシウドなどのセリ科植物、ニンジン、ミツバ、アシタバ、パセリなど、ジャコウアゲハなどは毒草として知られるウマノスズクサを幼虫が食べ、毒成分を成虫にまで残して自分を食べると毒だぞ!という警戒色を示すという念の入れ方。
どういうことでしょう?ショウノウを食べる虫ってのもなぁ。
他のチョウたちが自分たちの食草としていろいろな植物を確保したのでしょう。アゲハたちは進化上新参者だったのではないでしょうか。食物が競合する、ということが生存競争ということなのです(弱肉強食というのはないわけでもないでしょうが、従です。主たる競争は食物の競合でしょう)。すでにいるチョウたちと食草を競わず、残っていた「他のチョウには食べにくい食草空間(生態系空間の中での話です)」へ、アゲハたちは適応していったのではないでしょうか。
そんなことを考えながら、もう30年以上もチョウの飼育にいそしむのでした。
庭でキンモクセイの花が咲いています。2階の窓から撮りました。
高いところでは細かい観察がしづらいので、短く一枝切ってきて、机の上でじっくり観察しました。
その姿。部屋は芳香で満たされました。
きん‐もくせい【金木犀】モクセイ科の常緑小高木。中国原産の観賞用植物で、古くから庭木とされる。高さ約3メートル。葉は狭い長楕円形、革質で堅い。雌雄異株。日本のものはすべて雄株で結実しない。秋、橙黄色で芳香の強い小花多数を開く。漢名、丹桂。[広辞苑第五版]
生物を教えていた時も、この話はよくしました。日本のキンモクセイはオスだけなんだよ。だから「生殖」はできない。ということは、日本中にあるキンモクセイは基本的には「クローン」であるはずだね。などと。
もちろん、クローンとして株分けしても、その後に突然変異などをしている可能性はありますから、ずべての株が完全に同じ遺伝子セットを保有しているかどうかはわかりません。でも、基本的にはほぼ同じでしょうね。
そこで!その花を見てみることにしました。
多分、雄しべが2つあるのだと思います。
真中にチョンとあるのはメシベの名残でしょう。
(ということは、雌株の雌花では、メシベが発達していてオシベは名残だけになっているのでしょうね。どなたか、見てきてくださ~い)。
しばらく観察しているうちに、もうひとつなんだか変な感じがしてきました。
ライティングが下からになってしまった「変さ」は勘弁してください。そうではなくて、花が出ている位置なのです。
茎と葉の間の「腋芽」の位置に花がありますよ。花って普通こんなでしたか?
先端に咲く、というのは思い込みでしたでしょうか?
気づいてしまうと、なんだか気になります。お教えを乞います。
6月21日付で「紙魚(しみ)ってご存知ですか?」をアップしました。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_c0e0.html
その終わりのあたりでチラッと「虫食い算」の話に触れましたが、実際の虫食い算というものがどんなものだったか詳しくはご紹介しませんでした。後で、ちゃんと書かなくっちゃな、と思っていましたが、忘れていました。フト思い出してしまったので、虫食い算のお話をしましょう。
ここでのお話は下の本2冊からの内容で組み立てます。①、②という番号で参照しますので冒頭に掲げておきます。
①「東西数学物語」平山諦 著、恒星社厚生閣、昭和31年発行
②「数の遊び 虫食算・覆面算・桂馬とび遊び」加納敏 著、冨山房、1984年発行
◆まず、①にある問題から始めましょう。この問題は
藤田貞資の著「精要算法」(天明元年(1781)発行)という和算書にあるものです。
読めましたか?「米 三石七斗 」と始まっています。その間に「虫蝕」という形で「虫食い跡」が書き込まれています。紙魚という昆虫が、和紙を食べてしまったため記録の一部が失われた、その穴を復元できるか?というのが「虫食い算」の原型なのですね。いかにも虫が食った跡、というふうに描かれていますね。現在、パズルとしてお目にかかる虫食い算とはちょっと違った感じで新鮮でしょ。
「米□□3石7斗□升□合ある。この代は、金1□□両と銀13匁8分である。但し、米相場は金1両に1石3斗、銀両替60匁」という内容です。
◆さてこれをどう解くのか?
石・斗・升・合は古めかしい単位ですが、十進法です。ですから「□□3石7斗□升□合」は「□□3.7□□」石とまとめられます。
代金の方も両でまとめましょう。金1両が60匁となっていますから、銀13匁8分は
13.8匁÷60匁=0.23両 です。
そこで、米の代金は1□□.23両です。
さて、まとめましょう。
1.3[石/両] × 1□□.23[両] = □□3.7□□[石]
これが解くべき式です。普通の筆算形式で書くとこうなります。
筆算の途中は余分な「□」が書き込んであります。不要なものは使わずにほっといてください。
虫食い算自体はそう難しくありませんね。
答えはページ末に「答1」として掲げておきます。
さて、米の量[石]が出ましたから、これを1.3[石/両]で割れば、値段が何[両]かわかります。この答えの小数点以下のところ、0.??[両]に60[匁/両]をかければ、銀が何匁何分かが求まります。
答えはページ末に「答2」として掲げます。
◆②には別の問題も出ていました。
中根彦循 著の「竿頭算法」 という和算書にある問題です。
問題の内容はこうです。
「ある人がタンスの中から古い書きものを見つけました。それは、いくらかの銀を37人で等分するという書面でしたが、虫食いがひどく、銀の総量は「2拾3匁」という文字だけ、1人当たりの銀も「2分3厘」という文字だけしか残っていません。銀の総量と一人当たりの銀はいくらだったのでしょうか」ということです。
式の形で書くと
○○23○○ ÷ 37 = ○○23
という問題です。
割り算でやるのは面倒ですから、式を書き変えて
○○23 × 37 = ○○23○○ としましょう。さらに筆算型にすると
こうなりますね。さして難しい問題ではありません。
筆算形式の1行目が「一人当たりの銀」ですし、5行目の計算結果はもちろん「銀の総量」です。
但し、単位の問題があります。
例えば「654321」という結果が出たら、これは「6/543/2/1」=「6貫543匁2分1厘」と読むことになります。
1貫は1000匁、1匁は10分、1分は10厘です。
答えはページ末に「答3」として掲げます。
----------------------------------------
◆さて、これでアップロードすればよいかな、と思って、念のためにインターネットで検索してみましたら、本物の写真が見られることが分かりましたので、ご紹介します。
最初はこれ。
http://www.wasan.jp/seiyou/seiyou.html
↑これは「和算の館」というサイトの「電子復刻」です。
<引用>藤田貞資(定資)の主著である「精要算法」は天明元年(1781)に発行され,凡例の「算数に用の用あり,無用の用あり,無用の無用あり」は有名.
上巻で用の用を丁寧に説明し,中下巻では「関家の禁秘」を実際問題に書き替えて説明している.
この書によって和算が一変したと言われている名著.</引用>
虫食い算の部分はここにあります。↓
http://www.wasan.jp/seiyou/seiyou28.html
次はこれ。
http://www2.library.tohoku.ac.jp/wasan/
↑これは、「東北大学 和算ポータル」です。ここに、「和算資料全文画像データベース & 和算資料目録データベース」があります。
「竿頭算法」の画像は下のページにあります。↓
http://www2.library.tohoku.ac.jp/wasan/wsn-dtl.php?id=001428&cls=l
書 名 : 竿頭算法
著・編者名 : 中根彦循
刊写別 :
形 態 : 1巻 1冊
刊行年等 : 元文3年
西 暦 : 1738年
出版者 : 京都天王寺屋市郎兵衛
目録注記等 : 中学算法答術
文庫・集書 : 岡本刊
請求記号 : 126
その他注 : 中根彦循は中根元圭の息子.
登録番号 : ws001428
マイクロ
フィルム : L012-17
画像数 : 28
虫食い算の話は、下のページにまたがった形であります。
http://www2.library.tohoku.ac.jp/wasan/wsn-imgm.php?id=001428&cls=&km=18
http://www2.library.tohoku.ac.jp/wasan/wsn-imgm.php?id=001428&km=19
参考になさってください。
----------------------------------------
[答1]米は「253石7斗9升9合」
[答2]代金は「金195両と銀13匁8分」
[答3]銀の総量「3貫523匁5分1厘」
一人当たりの銀「95匁2分3厘」
昨日、イシムカデの話を書きました。その最後のところで「私は、別にムカデ・マニアではありませんので・・・」と書きましたが、夜になって、「そういえばマニアックな本があったっけ」と思いだして引っ張り出してきたのが下の本です。
「多足類読本 ムカデとヤスデの生物学」 田辺 力 著、東海大学出版会、2001.1.30、第1版第1刷発行
この本の帯にはこんなことが書いてあったのです。
ゲジゲジマニア入門
ゲジゲジは、どういう生き物なのだろう
気持ち悪いけどどこかかわいい
ゲジゲジの話
ね、マニアックでしょ。この本からまずは学術的なお話をいくつかピックアップしてご紹介します。(以下では青い文字にしたところが引用文です。)
脚をどのように運ぶのか、ムカデのジレンマというのも昨日ご紹介しましたが、実際は次のようです。
●この世で一番、足の多い生きもの
・・・
ところで、たくさんの歩肢は歩くときにからまったり、歩調が乱れたりしないのだろうか。ムカデやヤスデが歩いている姿を見ると、歩肢や体をリズミカルに動かしながら歩いていることがわかる。リズムのとり方はグループで違いがあり、オオムカデ目は体をヘビのようにやや蛇行させてリズムをとり、ヤスデの多くのグループは左右両側の歩肢を同調させて波打つように動かしてリズムをとっている。オオムカデ目は歩行速度が速くなるほど、より体を蛇行させる。オオムカデ目はまた、すばやく動くときは、最後の歩肢対を持ち上げている。
なるほど。
A:体を蛇行させて歩くアオズムカデ(オオムカデ目、オオムカデ科)、体長約10cm。
B:歩肢を波打たせるようにして歩くキシャヤスデ(オビヤスデ目、ババヤスデ科)、体長約3.5cm
(大雑把には、ムカデは体節に脚は1対、ヤスデは2対です。)
ムカデは脚をあまり前後に動かさずに体の蛇行で脚を運んでいますが、ヤスデは体はまっすぐなまま、脚を波打たせているんですね。
物理の方で「縦波」あるいは「密度波」を解説するときに「毛虫が歩くと毛が濃いところと薄いところが次々と伝わっていくでしょ。あのイメージね」などと教えたものですが(最近の生徒は毛虫もよく知らないからなぁ、困る)、このヤスデの脚の動きはまさに密度波の伝播の例に使えますね。
第3章 ムカデの話
●ムカデの毒
ムカデの毒牙は、専門的には顎肢とよばれるが、これは実は一番前の足が変形したものである。ムカデの毒牙は顎ではなく足なのである。
ムカデの毒液中にはヒスタミンが含まれている。・・・
ムカデの毒の強さはどれくらいなのだろうか。もっとも毒性の強いオオムカデ属の毒は、ネズミなどの小型の哺乳類や鳥などを死にいたらしめるだけの威力を持っている。・・・
人がオオムカデ属に咬まれると、その箇所が激痛をともなって赤く腫れ上がる。トビズムカデやアオズムカデに咬まれた方の話をうかがうと、腫れが引くまで1週間から10日ほどかかるという。・・・。しかし、人がオオムカデ属に咬まれて死亡することはほとんどないようだ。・・・
ヒトという動物は自分が思っている以上に動物界ではかなり「巨大」な動物であることを自覚しましょう。すぐ野生動物に「襲われた」とか言って騒ぎますが、実は、巨大な動物であるヒトに遭遇してしまった動物が自己防衛のために果敢に戦いを挑んだということも多いのです。まして、昆虫たちから見ると、ウルトラマンの前の人間みたいなもので、そうそうヒトに危害を加えることなどできないのです。
●捕食者からの防御
歩肢の自切:ジムカデ目を除くムカデ綱は捕食者に襲われたときに、自ら歩肢を切りはずすことがある。はずされた歩肢はしばらくのあいだ動いて捕食者の注意をそちらに向けさせ、その隙に本体は逃げ去るという寸法である。これはトカゲのしっぽきりと同じ戦略で、自切(じせつ)と呼ばれている。
●母親による卵の保護
獰猛なムカデにもしおらしい一面がある。オオムカデ目、ジムカデ目、ナガズイシムカデ目では、母親が卵を保護する。オオムカデ目では、母親は体を丸め、体と歩肢の間に卵を入れる。その様はさながら籠に卵を入れているようである。抱卵中、母親は卵をなめるが、これはカビの発生を防ぐためと思われる。抱卵には捕食者からの防御の役目もある。
抱卵中のオオムカデ目の母親を刺激すると、母親は抱卵している卵を食べたり放棄したりする。私自身の経験でも抱卵中のアオズムカデの母親を刺激したところ、案の定、卵を食べてしまったことがあった。アオズムカデの卵は黄色で艶があって美しかった。
・・・
ムカデが卵を保護するというのは珍しい話ですね。でも、この話であまり「母性、母性」とは叫びませんように。要するに、そういう行動を獲得した種が子孫をより多く残すことができたということです。
ムカデの自切というのは初耳でした。次の脱皮で脚は回復するのでしょう。成体になると脱皮をしなくなる種もありますが、生きている限り脱皮を続けるという種も多いのです。
さて、その脱皮ですが次のようです。
第8章 研究のための基礎知識
●変態について
多足類の変態にはいくつかの様式があるが、まず大きく次の2つに分けられる。
整形変態:脱皮しても胴節数は増えない。そのため、孵化した後は胴節数に変化はない。
増節変態:脱皮にともない胴節数が増える。増節変態はさらに次の3つの様式に分けられる。
真増節変態:成体に達しても(生殖可能になっても)脱皮を行い、そのすべての脱皮において胴節数が増加する。脱皮の回数に制限はなく、それにともなう胴節数の増加は死ぬまで続く。
完増節変態:成体になった段階で脱皮は止まり、それまでは脱皮ごとに胴節数は増加する。成体までの脱皮の回数(すなわち齢数)は通常、雄と雌で同じである。
半増節変態:胴節数の増加はある脱皮までで止まり、それから後の脱皮では胴節数は増えない。すなわち、ある段階まで増節変態をし、そこから後は整形変態に移り変わるわけである。脱皮の回数に制限はない。
さて、昨日は「イシムカデ」とご紹介しましたが、完全に自信があったわけではないのです。この本を読み返してみて、得心がいきました。大丈夫、昨日紹介した写真は「イシムカデ目」の仲間です。日本には3科6属約60種いるそうですが、種まではとても特定できません。
イシムカデ目
イシムカデの名は漢字で書くと石百足となる。名の通りに石の下でよく見られる。動きは敏捷で機動力に優れる。短い体と敏捷な動き、コンパクトなよさというものを感じさせてくれる生きものである。
・・・
日本産のものは成体の体長、数mm~40mm。眼はあるものとないものがある。眼がある場合、それは1~30の単眼で構成される。成体の有肢胴節数および歩肢対数は15、顎肢節の背板は横に細長く小さい。有肢胴節背板の異規性ははっきりしており、第2,4,6,9,11,13有肢胴節の背板は他よりも縦に短い。気門は体側部にある。半増節変態をする。
オオムカデ目
人を咬む、悪名高き生きもの。大型のものはトカゲ、カエル、ヘビ、小型の鳥、ネズミをも捕らえて食べる。母親が卵および幼体を保護するという、しおらしい面もある。
・・・
日本産のものは成体の体長50~200mmだが、熱帯にはさらに大きいものがいる。南米には体長40cmを超える巨大なものが生息し、度肝を抜かれる。眼はあるものとないものがある。眼がある場合、それは4つの単眼で構成される。・・・
成体の有肢胴節数および歩肢対数は、オオムカデ科のScolopendropsis属とメナシムカデ科のアカムカデ亜科で23の他は21(顎肢節の背板が第1有肢胴の背板と融合していることに注意)。日本産で歩肢対数が23なのはアカムカデ属だけである。・・・
整形変態をする。気門は体側部にある。
このように説明されています。そうして、この本の表紙は、とてもわかりやすいイラストが描かれているのです。
いかがでしょう。中央のイラストがオオムカデ、下のイラストはイシムカデですね。縦に短い体節が描きこまれています。
では、スミマセン、もう一度昨日の私の写真を見てください。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_91e9.html
「2,4,6,9,11,13有肢胴節の背板は他よりも縦に短い」ことがお分かり頂けるでしょう。
------------------------------------
さて、ここから先は、同書の著者のマニアぶりといいますか「入れ込み具合」をご紹介します。
生物学者って誰でもみんな、自分の研究対象の生き物が好きで好きで、愛してやまないのです。だからこそ、相手の命をもらったりもしながら研究に邁進できるのです。(嫌いな・苦手な動物となんかつきあいたくありませんよね。)
[はじめに]
多足類とは俗にゲジゲジと称されるムカデやヤスデの仲間のことである。ムカデを見せれば、多くの人は気持ち悪いと感じるだろう。しかし、「気持ち悪い」とはそれだけ印象深いということでもあるのだ。私はムカデやヤスデに繊細で端正な美しさを感じる。気持ち悪いものと端正で美しいものとは同じ感覚の軸の上に乗っている両極端ではないかと思う。美しいものはグロテスクなもので裏打ちされることで、その美しさが際立つのではないか。鋭利な日本刀のように、本当に美しいものはその奥底に恐怖をしまい込んではいないだろうか。
●ムカデにみる肉食動物の究極の姿
私はムカデに肉食動物の究極の姿を見る思いがする。・・・
・・・ムカデには、獲物を捕らえて食べるという肉食動物としての姿が見事に具現化されている。機能美なのだ。ムカデは造形として最高のできである。・・・
・・・。私はムカデに龍を感じる。
[おわりに]
好きなレコードの解説に見つけた一文「人は長じて自分の幼年期を再創造しようとするものだ」。
本書を執筆していた間も、ヤスデを調べているときも、音楽を聴いているときも、結局はいつも私はその文章のいうところのままではないかと思う。私を動かしている情緒は結局ただ1つではないか。・・・
・・・
多足類を愛好される方が1人でも増えることを願っている。
・・・
というわけでした。いかがでしたでしょうか。私の一文が田辺さんの願いを少しでも後押しして、ムカデやヤスデを、好きにならなくても、せめて冷静に観察する気力を養う助けになったでしょうか。
部屋の中にムカデがやってきたので、ティッシュに乗せてプラスチックケースに移動。記念撮影をしました。
脚が15対あるようですのでイシムカデだろうと思います。
ウィキペディアから引用します。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%82%AB%E3%83%87
ムカデ(百足・蜈蜙・蜈蚣)とは大顎亜門 ムカデ綱(=唇脚綱)に属する節足動物の総称。多足亜門(Myriapoda)を採用する分類体系も有力である。脚の数が多く、運動性に富む捕食性の虫である。英名のCentipedeはラテン語の百(centi)脚(ped)に由来する。
ムカデ類の体は頭部と歩肢の並んだ胴部からなる。頭部には1対の触角と口器がある。頭部の次の体節には、歩肢がなく、その代わりに顎の形になった顎肢がある。
歩肢の数は分類群によって異なり、イシムカデ目、ゲジ目の成体は15対、オオムカデ目では21又は23対、ジムカデ目では種によって異なり27対から37対、41対、47対などを示し多い種は100対を越し173対まである。発生による制約があるらしく、偶数対の歩肢対をもつ個体は稀な奇形である。最後の節には1対の尾脚=曳航肢と、改形類の雌では生殖肢がある。
では、もう一度じっくり観察してください。
右の写真では「顎肢」が比較的よく見えるのではないでしょうか。
頭の脇が膨らんだようにも見えますね。それが顎肢です。
腹側からの撮影も試みましたが、あまりいい写真は撮れませんでした。
迫力ありますね。
ところで、ホームページの方でもムカデを扱ったことがありますので、よろしかったらお読みください。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/frends/frnds_1.htm
ここでは、家の前で死んでいたムカデを紹介しました。脚が21対くらい見えますので、オオムカデだったのかもしれないと思います。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/Mukade.htm
ここでは「ムカデのジレンマ」を紹介しました。ムカデさんに足を動かす順番を訊ねたところ、ムカデは悩んでしまって歩けなくなった、というお話についてです。
私は、別にムカデ・マニアではありませんので、一緒に生活したいとは思いません。撮影後は屋外に放してやりました。生活圏が分離している限りは生存を妨げる理由は全くないので。
足元のベゴニアの花の蜜を吸いにハナアブ(正式名はよくわかりません)がやってきて、ホバリングしながらあちこちの花を訪れていました。
フラッシュをたきながらあてずっぽうにシャッターを切り、数枚撮影して後で見たら、2枚くらいの収穫がありました。その1枚です。ホバリング中の羽がフラッシュを浴びて写っています。
トンボのホバリングは前後の翅を互い違いに打ちおろしているようですが、ハエやアブのホバリングは、トンボとはまた違う技術ですね。翅が1対しかないですしね。後翅は「平均棍」という先端が丸まった短い棒状になっていて、前翅と同期して振動します。
高速で振動する物体=振動子を考えます。振動子の振動面を変えようとすると振動子は抵抗します。(一種の慣性のようなものですね)。
独楽や自転車の車輪など回転する物体も、回転軸の向きを変えようとすると抵抗しますね。(そのおかげで独楽は首を振りながら回転を続け、自転車は倒れにくくなりますね)。
回転する「コマ」を使ってジャイロスコープができます。同じように、高速で振動する振動子もジャイロスコープになります。小型のVTRやデジカメでも圧電振動子を使ったジャイロスコープで手ぶれ防止をしているものがあります。
さて、ハエやアブの平均棍は「高速振動子」ですからジャイロスコープになっているのですね。平均棍は体についているのですから、姿勢が変わると平均棍も一緒に動かなければなりませんが、振動子としては抵抗しますので体から力を加えて振動面を変更させることになります。その力を検出すれば(感じ取れば)姿勢の変化を知ることができるわけです。(このあたりを「コリオリ力」で普通説明しますが、コリオリ力は実在の力ではなく慣性力の一種でして私の好みの力ではないので、今回はそれを避けた説明を試みました。)
平均棍を取ってしまうと、ハエ・アブは自分の姿勢が把握できなくなって、うまくとべなくなるそうです。
あまり好まれない昆虫ですが、ハエの仲間は昆虫界でも屈指の飛行能力を持っているのです。そんなことも頭の隅っこに置いて眺めてみてください。見え方が違ってくるかもしれません。(人間が開発した飛行機やヘリコプターなどの飛行機械の能力など、昆虫たちの飛行に比べたらあまりにもチャチなものでしかありません。)
[追加]:オオスカシバを含むスズメガの仲間では触覚がジャイロスコープになっていてホバリングができるのだということです。またネジレバネという寄生昆虫がいるのですが、メスは足や翅を持ちませんがオスは目、足、翅を持ち、前翅が平均棍となっています。このネジレバネのオスはホバリング飛行ができるそうです。
「生き物たちの ふしぎな超・感覚」森田由子 著、サイエンス・アイ新書、2007年7月発行
からの孫引きです。
妻がまた採集してきました。「え~っ!まいったなぁ」が私の第一声。
2色咲きのオシロイバナです。
感じとして黄色い花の咲く方が「本体」で、そこから赤い花の枝が「分枝」したように思えます。その分岐点もよくわかると思います。
黄色い花の方は細かい赤の斑入りです。オシベの花糸も黄色です。
赤花の方のオシベは花糸も赤ですね。
◆さて、以下は私の推測にしかすぎません。信用なさいませんように。
以前に書いたと思いますが、多分、オシロイバナの基本色は「赤」でしょう。赤い色素を合成する酵素の遺伝子を持っています。
その遺伝子の中か、あるいは遺伝子をコントロールする領域かに動く遺伝子断片「トランスポゾン」が入り込んで、その遺伝子からつくられえる酵素がつくる色素の分子の形が少し変わり、吸収する光の波長が変化して、その色素は黄色になったのでしょう。
あるいは、赤い色素をつくる「量的な問題」で黄色に見えているのかもしれません。(いずれにせよ推測です。)
そうして、結果としての黄花のオシロイバナは比較的安定した品種として代々続くようになったのではないでしょうか。
さて、今この写真のオシロイバナですが、下の方で「分枝」するべく「芽」の細胞が細胞分裂をしているときに、トランスポゾンが抜けてしまったのでしょう。その結果、その芽より下流(子孫)の細胞で作られる枝(シュート)は「赤花オシロイバナの個体」になってしまったのではないでしょうか。植物の場合、枝はそれ自体「個体」と考えてもいいでしょう。「一つの植物」というものは、個体としての幹(枝)に個体としての枝がついた集合体と考えていいでしょう。
(動物のように体中が一つにまとまって一つの個体として活動する必要はないわけです。)
◆こんなことを考えてみました。私がもし植物学者だったら、遺伝子解析をしてみたいものです。私の「眼」は、「花の美の観賞者」ではなく、「花の生き方の観照者」です。できれば最先端の科学まで動員して「観照」したいものです。
-------------------------------------------
★さて、上で、ちらっと「シュート」という言葉を登場させました。私などは古い人間ですので大学で植物学の講義を受けた時には、まだ「シュート」という概念はありませんでした(普及していなかっただけなのかどうかは知りません。)
「写真で見る 植物用語」岩瀬徹・大野啓一 著、全国農村教育協会、2004年5月初版発行
という良書があります。ここからシュートという概念について引用します。
原著中の図を、私がエクセルで再現したものをここにつけますが、いうまでもなく原著中の図の方が美しい図です。
1.コケ植物の体
2.シダ植物の体
3.種子植物の体
4.根
5.茎
5-1:シュート
植物体はシュート(Shoot)と根(Root)からなる。
茎と葉は別の器官とされるが、茎には必ず葉をともなう。茎と葉はセットになって成長するので、これをまとめてシュートという用語を使う。苗条、葉条などの語もあるが、普通はシュートが用いられる。もとのシュートから枝分かれすれば、それは別のシュートになる。
5-2:芽
(1)シュートと芽
シュートの頂端には盛んに細胞分裂する部分があり、ここで茎や葉のおおもとが作られる。このようなところを成長点といい、広義にはこれが芽である。
芽はつく位置によって頂芽と腋芽に分けられる、シュートの頂端にある芽が頂芽で、これが伸びると同じシュートの続きとなる。葉の付け根にあるのが腋芽で、これが伸びると新しいシュートになる。
頂芽が盛んに伸びているとき腋芽は休眠状態にあることが多い。頂芽が損傷を受けると腋芽が成長を始める。
(2)休眠芽
シュートが見かけ上成長を止め、成長点が鱗片葉や未展開の普通葉に被われた特有の形を休眠芽という。日本の場合は冬期に休眠することが多いので冬芽(越冬芽)とも呼ばれる。年中温暖湿潤な地方では休眠芽をつくらない植物が多い。
(3)花芽・葉芽・混芽
早春に開花する樹種には、花芽と葉芽に分かれているものが少なくない。休眠芽が少し大きくなった段階で、外見でも区別できるものがある。
花芽(かが):展開したとき花をつけるシュートになる。
葉芽(ようが):展開したとき葉だけで、花をつけないシュートになる。
混芽(こんが):展開したとき花と葉を持つシュートになる。(以下、略)
●ハクサイもタマネギも短いシュート:ハクサイ・レタスは短い茎があり、これに多数の葉が重なってつく。タマネギは茎はごく短い。これに多肉の葉が重なってつく(鱗茎)。
●花はシュートの先が短縮し、特殊な形に変わったものである。その先端に心皮の合した子房がある。葯を支えるものが花糸、その下の花弁やがく片などは、いずれも葉の変形である。それぞれを花葉(かよう)と呼ぶこともある。
◆このシュートという概念を使うと
「最初のシュートは黄花の遺伝子を持っていた。そこから新しい別のシュートが分枝するときの細胞分裂中に、トランスポゾンの移動があって、新しいシュートは赤花の遺伝子に戻った細胞で構成されている。」
こういうことでいいのではないでしょうか。
どなたか、遺伝子解析のできる環境にいらっしゃったら、ぜひやってみてくださ~い。
アサガオとルコウソウが絡み合って繁っているところにいたのだそうです。
尻尾の尾角でスズメガの仲間であることは一目瞭然。
アサガオに来るのは何だっけ?と調べたら、エビガラスズメでした。
ルコウソウも食草として挙げられていました。ということは、アサガオの方はもう枯れかけてきていますので、ルコウソウを食べていたのかもしれませんね。蛹になれるよう、飼育中です。
「蝦殻天蛾」漢字で書くとこうだそうです。
幼虫には上の写真に載せた緑色のタイプの他にもいろいろなタイプがあるようです。いろいろなタイプの幼虫や成虫の写真をご覧になりたい方は、下の「幼虫図鑑」から「エビガラスズメ」で検索して、ご覧ください。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/youtyuu/index.html
ほととぎす【杜鵑草】ユリ科の多年草。山地に自生。茎は高さ60~90センチメートルで、毛が密生。葉は長楕円形。秋、白色に紫色の斑点の散在する花を開く。和名は花の模様が鳥のホトトギスの腹の斑紋に似るため。同属にヤマホトトギスなど数種あり、その総称(属名)として呼ぶこともある。漢名、油点草。[広辞苑第五版]
ところで、ホトトギスを食草とするチョウがいます。ルリタテハ。名前を聞くと、イメージは良いでしょ。
ところが、ドッコイ。この幼虫が、派手というか、賑やかというか、初めて見た時はコリャナンダ?!とびっくりしました。その経緯は私のホームページでご覧ください。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/frends/frnds_13.htm
また「幼虫図鑑」というサイトの表紙が、このルリタテハの幼虫の写真です。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/youtyuu/index.html
↑ここです。苦手な人は見ない方がいいです。
でもねぇ、ルリタテハが我が家にやってきてくれたのは1回きりなんですよぉ。もっと来てほしいなぁ、と夫婦して願っております。
以前にも扱いましたミズヒキです。前回は姿形の不思議さに惹かれましたが、今回は色の対照。
上の面は春のときにもまして濃い赤です。
下の面は白。
紅白の水引に見立てるなど、洒落ていますね。
http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/choripetalae/polygonaceae/mizuhiki/mizuhiki.htm
ミズヒキ Antenoron filiforme (タデ科 ミズヒキ属)
ミズヒキは日本全国、朝鮮・中国・インドシナ・ヒマラヤなどに分布する多年草。半日陰の林下や路傍などに生育する。茎の断面は白色の髄が詰まっている。葉は幅広い楕円形でやわらかく、黒い斑紋があることが多い。両面に毛があり、茎や花茎にも毛がある。茎の先端から数本の長い花茎を出し、まばらに花をつける。花弁に見えるものは萼であり、長い期間、花が咲いているように見える。花期は8月から11月。和名の由来は細くて長い花穂を祝儀封筒や進物にかける水引にたとえたものと言われる。
庭には水引と並んでイヌタデも生えています。タデ科ということで、一緒に載せておきましょう。
http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/choripetalae/polygonaceae/inutade/inutade.htm
イヌタデ Persicaria longiseta (De Bruyn) Kitag. (タデ科 イヌタデ属)
イヌタデは北海道から琉球にまで普通に見られる一年草。千島・樺太・朝鮮・中国・ヒマラヤなどにも広く分布する。やや湿った半日陰などに多く、道端や原野・耕作放棄地などに生育する。花期は6月~11月と長く、いつも咲いている印象がある。花が枯れて茶色になったものがあるわけで無し、種子が稔って落ちている様子も無い。花穂を見ると、いつも開花しているものがあるように思える。花弁のように見えるものは、実は顎であり花弁はない。顎が紅色であり、つぼみの時も花が咲き終わった状態でも紅色に見えるわけである。果実が稔るとほとんど茶色にならずに落下するが、次々と新しい花が形成されるので、花序の形そのものは保たれている。
アカマンマと呼ぶ地方も多く、この花をむしりとって器に盛り、赤飯に見立ててままごとに使っていた。
あぁそうなのかぁ、でした。私の頭の中に「あかまんま」という名前はあるんです。でも、イヌタデをままごとで使ったからなんですね。知らなかった。
オシロイバナの実の白粉とか、ホウセンカの花でマニキュアとか、雑草を束ねて「箒」とか、「あかまんま」とか・・・。
「女の子」というものは、ませてますねぇ。
私は昔、虫ばっかり見ていた「男の子」でした。
9月7日に東京の近くを通過していった台風9号について、台風の構造などの話をしようと思っていて、すっかり忘れていました。
http://www.jma.go.jp/jma/index.html
ここが気象庁のホームページです。ここから、「過去の気象データ検索」へ入りますと、いろいろな気象データが入手できます。
私は9月12日に、台風上陸の前後の、9/6~9/7の東京のデータをダウンロードしました。
◆これは、風向と風速の変化のグラフです。
気象庁のページですでにグラフ化されていたものです。9月6日分と7日分を、貼り合わせて作りました。横軸の数値がちょっと変になっているのはそのためです。
風速のグラフだけならエクセルでも簡単に作れるのですが、風向を表示するのはかなり難しいのです。そこで、既存のグラフを加工して作成しました。
台風9号は9月7日午前2時頃に小田原市付近に上陸しました。
グラフを見ると午前3時と4時の間で風向が変わったことが判ります。東風が西風に変わっていきました。
と同時に、午前3時頃、風速が最小になり、その前後は風速大です。
ということは、午前3時頃、台風の眼が東京の非常に近辺を通って行ったということを示しています。
天気予報でよく「吹き返しの風」という言葉を聞きますね。真夜中でしたし、勢力も最盛期は過ぎていましたから、あまり意識はしなかったと思いますが、台風の眼が通過していく時、風がおさまり、前後で風向きが反転する、という出来事が起こっていたことが判ります。
◆これは、気圧変化のグラフです。データ表の形でダウンロードしたデータから、必要なところだけを抜き出してエクセルでグラフ化したものです。
横軸がうまく作れませんでした。9月6日の1時~24時に続けて、9月7日の25時から48時という形にしました。24時を超えた分は、24を引いて考えてください。
このグラフでも、横軸の「27」のところ、つまり午前3時頃に気圧の最小値「979.5hPa」を記録しています。
(気圧の値は、測定地の高度の影響を補正した「海面補正値」です)。
◆上の二つのグラフは、「東京」という固定された場所での気象データの経時変化です。実際には台風は上陸後に勢力が衰えることが多いのですが、その勢力変化を無視して、グラフを眺めると、これは、台風を中心を通る面で切った断面における台風の構造を示していると「非常に粗っぽい近似で」考えることができるでしょう。
◆台風の直撃を食らうことはまるっきりありがたくはないのですが、せっかくのチャンスでしたので、このような報告をつくって見ました。
◆実は、理科おじさんの部屋:第62回で、同じような分析を試みています。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/62th/sci_62.htm
2006年9月16日6時頃に台風13号は、沖縄県の石垣島を通過しました。その後、9月17日18時頃に長崎県の佐世保に上陸しました。
この時の気象データの変化をグラフ化して「台風の断面図をつくる」という勉強をしました。よろしければお読みください。
10/4 こんな幼虫を見かけました。
多分テントウムシの仲間の幼虫でしょう。ナナホシテントウではないと思います。頭の先の方にアブラムシがいっぱい見えます。
そこに、何かの「目玉」のようなものが見えますが、たぶんこれはアリです。アリの腹部と頭部が見えていて、まるで何かの昆虫の眼のように見えています。
10/5 同じ場所でまた同じ幼虫を見かけました。
おや、おまえ、まだ居たのかい、とスナップショット。
この写真の方が頭までちゃんと見えますね。
同じ日。今度は、ほぼ同じ場所で、成虫のテントウムシを見かけました。
この成虫が、たぶん上で見かけた幼虫の成体だと思います。
やはりアブラムシを食べています。
ナミテントウではないかと思っています。
ところで、この成虫の写真を撮ろうとすると、別にすごい勢いで逃げる、というわけではないのですが、アングルを考えてカメラを近づけていくと、すす~っと反対側に移動するんですね。何度か試みてやっと背中側から撮れた一枚が右の写真です。
東京都の指定の散歩道らしいです。
この文字の刻まれた面と直角の面にはこんなマークがあります。
かたつむりですね。のんびりゆっくりお楽しみくださいということでしょうか。
ここは、東急線の田園調布駅前です。
案内板の写真です。東京都の地図に散歩道が描きこまれています。
ちゃんとしたルートをお知りになりたい方は、下のサイトでどうぞ。
http://www.e-sampo.co.jp/rekibun.htm
こんなあたりにかかしさんは住んでいます。
「田園調布」の由来が書かれています。
このあたりは昔「調布」といったのです。
「調(みつぎ)の布」ですね。
多摩川の河原で、布をたたいてさらしたのでしょう。今の調布市も多摩川沿いですね。
http://www.keihin.ktr.mlit.go.jp/tama/know/property/12.htm
↑ここに面白い話がのっています。
万葉集の歌
「多摩川に さらす手作り さらさらに 何そこの児の ここだ愛しき」
についての、いろいろな話題もあります。
多摩川沿いには、布田、染地、砧など、「調布」がらみの地名も多いですね。
私の住んでいるあたりは昔は「東調布」といっていたようで、「東調布」を冠した小学校名、中学校名、警察署名などいろいろあります。警察は「田園調布警察」に名前を変えてしまいましたが。
「開業当初の旧田園調布駅舎」の写真が上の写真に載っていますが、現在の姿と比べてください。
これは、復元されたものですが、現在は駅舎ではありません。東急東横線の地下化に伴って、駅自体はこの建物の向こう側に別にあります。
★散歩道の「かたつむりマーク」については、昨年、私のホームページの方で何回か騒ぎましたので、ご覧頂ければ幸いです。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/essay/Snail.htm
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/essay/Snail2.htm
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/essay/Snail3.htm
↑ここです。
これは、ツマグロオオヨコバイの終齢幼虫です。今度脱皮すると翅になるというのが見えていますね。
眼がかわいい。
ところで、ちょっと見、脚が2対しかないように見えます。
よく見ると、たぶん1対を隠していて、その先端が後ろの方に見えているようです。
ツマグロオオヨコバイは漢字で書くと「褄黒大横這」です。幼虫の段階では「褄黒」ではありませんが、すごい「横這」をします。成虫の場合は翅で飛んで逃げることもしますが、幼虫には翅がない。で、危険を感じて逃げるとき、ツツツーっと「真横に移動する」のです。今まで目の前にいた幼虫がいなくなったら、葉の裏を見てください、きっといます。ほんとにみごとにヨコバイしますよ。
こちらは成虫。ちゃんと「褄黒」になっていますね。
成虫もやはり、脚が2対に見えます。
このアングルで見ると1対を隠しているのが判ると思います。
こう撮れば3対ありますね。
でも何でなのでしょう?ヨコバイするのに、3対より2対でいた方が歩きやすいのかなぁ?
判りません。
延命地蔵尊をご紹介しましたので、今度は、神様のほうです。
ここは大田区の御嶽山の駅近く。
とっても小さな「神社」です。一坪以上はあるかな。
お社はこちらから見ると後ろ向きです。
一の鳥居をくぐると、もう二つ鳥居があります。
とにかく窮屈でしてね。やっとこさでお社の前に回ると
正面が見えてきました。
鈴もないですね。
中を覗かせていただくと、
なんだかなぁ、神棚のようなものが置いてありました。
それでも、花も供えられてますし、人が手を入れていることは確かです。
一応「ON」ではありますが・・・。まぁ、都会の一隅で、味わいのあるコーナー、ということにしましょう。
や‐しろ【社】(屋代ヤシロの意。すなわち神籬ヒモロギを神霊の来臨する屋の代りとする意)
①神の降下する所。神をいわい祭った斎場。万葉集20「国々の―の神に」
②後世、神を祭る殿舎。神社。[広辞苑第五版]
コウモリの項で、夕方ベランダに出たら、トンボが群飛していたと書きました。あてずっぽうのシャッターで何とか写った写真も載せておきました。
さて、その翌日、10月5日朝、7時過ぎ~8時頃、外へ出てみたら、電線や、ワイヤにトンボが止まって日向ぼっこをしていました。ざっと見たところでは数匹でした。
翅を下していますね。これは完全に休んでいる状態。
まだ体温が低いのだと思います。
アキアカネですね。ここまできてやっと体色が見えました。
電線に2匹とまっています。
こういう状態は、高いところでしか見られません。
9月の末から10月の上旬にかけて、「トンボの集会」と私が勝手に呼んでいる状態がきます。天気の好い、空気が澄んで透明な日の午後、もっと低い、人の視線くらいの高さのレベルで、アキアカネたちが群れ飛び、日向ぼっこをし、水面のきらめきを見つけては、おそらく最後の産卵をしているのだと思います。
こういう時期にトンボを捕獲し、腹部の先端を水に「ちょんちょん」とつけてやると、産卵してくれることがあります。また、ガラス細工のような小さなヤゴを見るチャンスもあります。
機会があったら試みてください。でも、トンボは放してやってくださいね。ここまで生きて活動してきたトンボですから、最後まで自力で命を全うさせてやりましょう。
今、この秋の透明な空気の中で、トンボたちは、命の瀬戸際を存分に生きています。
ふと思います。人間は生きることにばかり執着し、しがみつき、「QOL」(Quakity of Life)などということばかり気にしますが、自分の「命を生き切る」ことが本当は大切なのです。その観点からは、QOD(Quality of Death)も大切にしませんか。よい死に方をしたい、命をきちっと生き切りたい、そう思います。
生きることにも、死ぬことにも、執着しすぎることは、苦悩ですよ。by かかし。
昨日アップロードした「理科おじさんの部屋:第104回」の終りに、10月3日の夕方、もう日没の頃、空を舞うコウモリをU君と見たことを書きました。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/104th/sci_104.htm
ここをご覧ください。
◆その時、手に持っていたコンパクトデジカメ(OLYMPUS FE-190)で撮影を試みたのですが、暗いし、空を飛ぶ被写体へのオートフォーカスがうまく働かないし、で、シャッターボタンを押しても、実際にシャッターが落ちるまでにすごい間が空いてしまって、とっくにコウモリは視野の外でした。
写る写らないは別にして、とにかく肉眼で見ているシーンに追随してシャッターが落ちたらいいのになぁ、とつくづく思いました。
そこで、翌4日の夕方、ほぼ同じ時刻に、今度は、デジカメの中級機で再トライして見ました。機種は、(業界再編で今はない)KONICA MINOLTAのDiMAGE Z3 です。
とにかく見てください。レタッチソフトで、明るくしコントラストを強めてあります。(何もしない画像は後ほど。)画質はザラザラですがご勘弁を。
写真左上のあたりに黒いものが写っていますね。これがコウモリです!
Z3では、マニュアルフォーカスができます。そこで、ピントを無限大に固定し、感度をISO400に設定しての撮影です。またカメラ背面の液晶スクリーンのほかに、ファインダーもありますので(一眼レフのような光学的なファインダーではありません、やはりスクリーンを見るのですけれど)右眼でファインダーをのぞいて電柱や鉄塔などの位置を確認して構図を決め、左眼ではコウモリを追って、ファインダー上で確認している構図の中にコウモリが入ったはずだ、という感覚でシャッターを押します。シャッターボタンに即応してシャッターが落ちます。
こんなやり方で26枚ほど撮影して、うち20枚になんとかコウモリの黒い影が写っていました。
では、画像をトリミングしただけで、画質は何もいじっていない写真をお目に掛けます。
◆まず、17:06にベランダに出ました。すると、眼の前を多数の、おそらく10数匹のトンボが群れをなして飛んでいました。秋のこの時期の習性です。アキアカネです。
目の前数十cmのあたりを、ぶんぶんうなりをあげて飛びまわりました。遠くを飛んでいるのもいます。
ピントを無限大に固定して撮った写真です。
いったん室内に戻って。
◆17:30ころに今度は道に出て空を見上げました。
左から順に、17:35、17:36、17:37と、ほぼ1分おきの撮影です。
暗くて分かりにくいとは思いますが、なんとか、画面の中に、飛翔するコウモリの黒い影が判別できると思います。
どんどん暗くなっていきますね。
最後に、一度、ピントは無限大のままフラッシュをたいて見ました。
写真右側に、何かが光を反射して、ぼんやり丸く写っています。何が写ったのかは特定できません。つもりとしては画面の中にコウモリがいるはずなのですが・・・。
ひょっとしてコウモリからの反射光なのでしょうか?
大口径レンズのデジタル一眼レフがほしくなる撮影でした。
◆ちなみに、東京での日没時刻は
10月3日 17:23
10月4日 17:22
10月5日 17:20
です。
ちょうど、日没のころにコウモリは飛び回るようです。(日没後のことはわかりません)。
イチモンジセセリです。9/25の撮影です。
この日は朝まで雨が降っていて、雨が上ってからも比較的気温の低い日でした。
この写真をご覧ください。普通だと、羽をたたんで止まっていることが多いのですが、この時は開いていますね。
後翅がほぼ平らに開き、前翅が少し立っています。写真からは判りにくいのですが、太陽を背にしています。影で判るかな。
これ、朝日を背に受けて、体温を高めているところだと思います。翅を半開きにすることで、普段は見せていない背中を出し、太陽光を受けているのでしょう。
ところで、結構毛深いのですね。頭が何だか「髪の毛を立てた」みたいでおもしろかったですよ。
やはり翅を開いていますね。
見ていても、逃げません。まだ体温が低いのかな?そこで、思いきりクローズアップを試みました。
なんかなぁ、私はこういう昆虫たちに「威厳」を感じるのです。堂々と、ひたすらに生きる。
美しいと思います。(当然、反語的に、ヒトの醜さを恥じながら。)
9/23 車で帰宅したところ、道の端っこを2匹のツマグロヒョウモンの終齢幼虫が歩いていました。もう食草のすみれがなくなったので出てきたのか、蛹になる場所を探しに出てきたのか、とにかく、車にひかれたりしては大変!妻と二人で一瞬のうちの暗黙の合意、直ちに飼育ケースに入れました。すぐ直後、もう1匹みつけて、計3匹の終齢幼虫が集まってしまいました。我が家の近辺のスミレはもうないし、園芸ショップやホームセンターなど回りましたが、スミレもパンジーもなく、困りました。
なんとか、線路際のスミレを見つけて、入れてやると、まだ食べる気ですね。むしゃむしゃ食べています。
この日9/23。成虫も何匹か飛来しました。ランタナの花が気に入ったようで、吸蜜していました。
左がメス、右がオスです。オスの方はもうそろそろ寿命らしく、あまり飛び回る力はないようでした。
9/28 飼育ケースの中では、1匹が蛹になり、1匹は前蛹になり、1匹はまだ幼虫でいました。
3つの状態がそろうのは珍しいですね。前蛹といいましたが、まだほとんど幼虫の状態そのままです。ギュッと体を曲げています。大仕事の前、体内ではどんなことが進行しているのでしょう?
ちょっとした壮観ですね。
この蛹、「光る蛹」として有名ですが、ちょうどある1匹がアングルの関係で、光る「突起」に、飼育ケースのフタの緑の格子が写り込んでいました。
ちょっと珍しかったのでお目に掛けます。
突起の表面が非常によく光を反射するということがわかります。
ちょっと古いのですが、去年2006年の今頃9/30に、ガレージのところで、ツマグロヒョウモンの交尾を撮影した画像を探してきましたので、ご覧ください。
これで、卵や若齢幼虫は別にして、ツマグロヒョウモンの生活史のかなりの部分を見ることができました。
今年は暑かったせいでしょうか、今もずいぶんツマグロヒョウモンが飛びまわっているのを見かけます。アゲハ程の大型ではありませんが、結構大きな蝶ですから目立ちます。
観察してみてください。
実がいっぱいなり始めました。
実は、私はエンジュがマメ科だということを知りませんでした。葉の姿は実にマメ科そのものなのですが、まさかジャックと豆の木ではあるまいし、豆の木があるとは思っていなかったのです。あ~ぁ、恥ずかしい。 調べてびっくり。
えんじゅ【槐】(ヱニスの転) マメ科の落葉高木。中国原産。幹の高さ約10~15メートル。樹皮は淡黒褐色で割れ目がある。夏に黄白色の蝶形花をつけ、のち連珠状の莢サヤを生ずる。街路樹に植え、材は建築・器具用。花の黄色色素はルチンで高血圧の薬。また乾燥して止血薬とし、果実は痔薬。黄藤。槐樹。「槐の花」は 夏 。[広辞苑第五版]
http://www.ne.jp/asahi/osaka/100ju/enju.htm
によりますと
エンジュ Sophora japonica
マメ科クララ属
Sophora:この仲間の観賞植物のアラビア名
japonica:日本のエンジュには「日本の」という意味の種小名がついていますが、もともとは中国原産で、日本へは古い時代に導入されました。中国名は槐樹で、出世の樹として中庭に植えられるそうです。
エンジュはニセアカシアやイヌエンジュと同じ奇数羽状の複葉をもつマメ科落葉高木で、この3種は良く似たところがあって、なれないうちは区別の困難なことがあります。とくに花や実のないときには小枝の色や小葉の形や毛の様子などに注意しなければなりません。しかし、夏の終わりから秋にかけてはエンジュ独特の形の実がたくさんなりますので、区別は大変やさしくなります。ほかの2種と異なり、エンジュの花は7~9月頃にかけて、大きな円錐花序に咲きます。花の色はクリーム色で、花が終わりますとマメができてきますが、マメの形はニセアカシア やイヌエンジュのような扁平なエンドウ形のものではなく、写真のように、丸い球や楕円体状のものが連なった念珠状になり、他の2種とは明らかに違います。エンジュの果実には水分が沢山含まれ、マメが熟しても乾かず、サヤがはじけることはありません。マメのサヤに含まれたねばねばした液体は石鹸の代わりになると書いてありましたので私もやってみましたが、サヤが若いせいか、あまり泡立ちませんでした。
エンジュは薬用植物としても有名です。とくに花のつぼみを干したものは槐花 (かいか)とよばれ、漢方で止血剤として使われます。槐花に高い含有率で含まれるルチンという色素は高血圧の薬を作る原料になります。また、葉や樹皮、根などにもルチンその他の薬用成分がたくさん含まれています。ただ、日本に植えてあるエンジュから薬を取るために花を集めたりすることはないようで、槐花は中国から大量に輸入しているそうです。
昨日10/1「この花はなんですか?」といって写真を載せましたところ、さっそくに「種子ちゃん」からコメントを頂き、トレニアであると教わりました。
聞いたことのあるような気もしますが、実物と全く結びついていませんでした。お恥ずかしいことでした。
実はこの花、不思議な構造をしていまして、それが気になっていました。
写真をご覧ください。なんだか両手を頭の上にあげて、両手のひらをくっつけて輪をつくっているようですね。
多分、これがオシベなんだと思うのです。その下に多分メシベが見えています。
下の花弁の中央に黄色い斑紋があって、なんだか「蜜はこっち」と言っているようにも見えます。
http://www.yasashi.info/to_00007.htm
ここで、花の構造の大きな写真が見られます。ぜひご覧ください。
分類:ゴマノハグサ科ツルウリクサ属
学名:Torenia
和名:花瓜草(ハナウリグサ)
別名:夏菫(ナツスミレ)
原産地:インドシナ
だそうです。
彼岸花です。9/20撮影です。彼岸の中日を前にして、ちゃんと咲きました。律儀ですね。
ところで、私は、彼岸花というと、この写真のような全体としての「姿」を認識していました。ですから、これで一輪だ、と思っていたわけです。
ブログに写真を載せるようになってから、花を見ると、その細部まで見たくなってしまいました。
花にメシベがあり、 オシベがある。当たり前なのですが、個々の花たちの凝らしている工夫の多様さには、まったく目を見張り、感嘆するばかりです。
さて、花を真上から撮ってみたのです。そうしたら、私が一輪の花、と認識していたのは、実はいくつかの花の集合だったのですね。
この集合した形が全体として、いわゆる彼岸花の形になっていたのでした。知ってる人はとっくに知っているんでしょうね。いやお恥ずかしいことです。
こちらは、つぼみの集合です。5つのつぼみが集合しています。
なるほどなあ、ちゃんとつぼみから見ていれば、すぐわかるんですね。
ひがん‐ばな【彼岸花・石蒜】ヒガンバナ科の多年草。田のあぜ・墓地など人家近くに自生。秋の彼岸頃、30センチメートル内外の一茎を出し、頂端に赤色の花を多数開く。花被は6片で外側に反り、雌しべ・雄しべは長く突出。冬の初め頃から線状の葉を出し、翌年の春枯れる。有毒植物だが、鱗茎は石蒜セキサンといい薬用・糊料とする。カミソリバナ。シビトバナ。トウロウバナ。マンジュシャゲ。捨子花。天蓋花。 [広辞苑第五版]
ひがん‐ばな‐か【彼岸花科】 単子葉植物の一科。熱帯・亜熱帯を中心に約85属1100種ある。多くは多年草で鱗茎か根茎をもつ。花は両性、花被は6片で内外2輪。雄しべは6、雌しべは1、ユリ科に似るが、子房下位、散形花序などの点で異なる。ヒガンバナ・スイセン・アマリリスなど。[広辞苑第五版]
まんじゅしゃげ【曼殊沙華・曼珠沙華】〔仏〕(梵語 ma j aka) 天上に咲くという花の名。四華の一で、見る者の心を柔軟にするという。 〔植〕ヒガンバナの別称。[広辞苑第五版]
しびと‐ばな【死人花】ヒガンバナの異称。[広辞苑第五版]
そう、嫌う人はすごくこの花を嫌いますね。
私はそういう感覚とは全く無縁の無粋人なものですから、不用意に見て不快になられた人がいらっしゃったら、お詫びします。
古い記憶ですが、山口百恵さんが「まんじゅしゃか」という歌を歌っておられましたね。歌詞などまるっきり覚えておりませんが、ひどくせっぱつまった情感をつきつけられた、という記憶があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%BC%E5%B2%B8%E8%8A%B1
ウィキペディアです。面白い話が載っています。ぜひご覧ください。種子ができない、という話も載っています。
月探査衛星「かぐや」が先月9月14日にH2Aロケットで打ち上げられたのは、ご承知のことと思います。
私は、その打ち上げシーンをJAXAのライブカメラで見ていました。すると、とても面白いことが付随的に起こっていましたので、お気付きでない方も多いのではないかと思い、ご紹介しましょう。
これは発射台の上のH2Aロケットです。ロケットの先端部付近の形を覚えておいてください。
上昇を始めたところ。ロケットの先端付近ですが、まだ何も起こっていません。
おや?ロケットが帽子をかぶり始めましたよ。
完全に白い帽子をかぶりました。
これは当日昼のNHKニュースの画面の写真。やはり帽子をかぶった姿が写っていますね。
この白い帽子は何なのでしょう?
俗に「音速の壁を突き抜ける瞬間」というものなのですが、音速に達する前から見え始めると思います。
ロケットの先端部が空気を猛烈に圧縮します。すると、当然、その圧縮部の後ろ側には逆に猛烈な膨張がもたらされます。
熱のやり取りをするひまのない膨張を「断熱膨張」といいますが、気体が断熱膨張すると温度が下がります。(エアコンや冷蔵庫の冷却の原理もこれです。)
湿り気をもった空気の温度が急激に下がると、水蒸気が気体でいられなくなって水滴=雲になります。
この雲が、上の写真の「白い帽子」なのです。ロケットが加速して、音速に間もなく到達するぞ、というときからこの「白い帽子が」現われたというわけなのです。
★高校物理で、「ドップラー効果」というのを音の授業でやります。
左は音源が静止しているときのイメージ。真中は音源が右へ向かって移動しているときのイメージ。移動の前方で音の振動数が増え、後方で振動数が減ります。前方では音が高く聞こえ、後方では音が低く聞こえるということです。救急車のサイレンなどがよく例にひかれます。光であるなら、観測される遠方の星のスペクトルが「赤方偏移」している、つまり観測者から遠ざかっている、つまり宇宙は膨張している、という話に出てきますね。
右端の図は、音速で移動するときです。移動物体の前面に全部音の波面が集中しますね。これが「衝撃波」です。いわゆる「音の壁」です。このとき、移動物体の前面は、猛烈な圧縮部分になり、そのすぐ後ろで猛烈な膨張が起こるわけです。
これが上でお話しした、白い帽子=雲の帽子ができる原因です。
音速を超えると、衝撃波面は円錐状になります。この円錐面が地上に届くと、地上でその強烈な圧縮と膨張が起こりますので、家のガラス窓が割れたりもします。ですから、ジェット機が音速を超すのは、人家のないところの高空で、に限定されます。sonic boom といって、爆発音のような音が聞こえます。
船の航跡がV字型になっていることがありますね。あれは、水面の水の波の速度より速い速度で船が走るときにできる一種の「衝撃波面」です。水鳥が泳いでいてもV字型の航跡ができますね。「超音速水鳥」なのです。
水路の水面に、斜めの筋が走ることがあります。あれは、逆に水の方が水面の波の速度より速く流れるためにできる一種の「衝撃波面」なのです。
台所の流しに水道の水を細く絞って流すと、円形に広がって、円形のふちが盛り上がっていることがありますね。あれは、流しの面を広がる水の速度が水面の波の速度を上回っている範囲なのです。縁のところまで流速が落ちて行って、ちょうど縁のところで流速と波の速さが等しくなっています。
津波が陸にあがって、奥へ走りあがっていく時に、同様のことが起こって、波の速さより水の流れが速い部分の先端が「衝撃波」になり、激しい破壊力を発揮します。
星間ガスの中を、超新星爆発の衝撃波が走るとき、衝撃波面で激しい圧縮が起き、新しい星が生まれます。
★話が飛びまわりましたが、「かぐや」打ち上げ時のH2Aロケットの先端に現れた「白い帽子」は、この「衝撃波」を白い雲の形で、肉眼で観察していた、といっていいでしょう。
珍しいものを見ました。
ジェット機が音速を超えていく時に「音の壁を超える瞬間」という写真は結構有名です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/Prandtl-Glauert_Singularity
ここをご覧ください。美しい写真が見られます。
「Prandtl-Glauert Singularity」というのだそうです、専門的には。
こういう有名な写真を知っていることも楽しいですが、ロケット打ち上げを見ていて、「あっ、音速を超えていく!」と、自分の眼で、確認することができるというのも実に楽しいことです。頭の隅にでもご記憶ください。
さすがに美しく撮れています。
ところで、9月30日付の朝日新聞の記事で、その後の「かぐや」のニュースがありました。最後に付け加えておきます。
かぐや、2度目の軌道調整 月めざし、地球に別れ
2007年09月30日00時20分
月探査機「かぐや」は29日、地球の周回軌道から離れて月の周回軌道へ向かうため、2度目の軌道調整をした。宇宙航空研究開発機構によると、同日昼に地球から約8500キロまで接近。計画通りエンジンを噴かして軌道を変え、順調に月をめざしているという。10月4日に月の周回軌道に入る見込みだ。
かぐやは、14日に鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げられた後、約2週間かけて超長円の地球周回軌道を2周した。
地球から月までの距離は約38万キロで、直接目指せば数日で到達できるが、今回は約1年間の観測に不可欠な太陽電池パネルやアンテナの準備などに十分な余裕を持たせるため、あえて回り道したという。
月に近づくと、最初は月からの距離が約100~1万3000キロの長円軌道に入る。この「難関」をくぐり抜けると、月との距離を少しずつ詰めながら2基の子衛星を分離。高度100キロを回る円軌道に乗れば、12月中旬から観測を始める予定だ。
苦手な方は拡大画像を見ない方がいいかもしれません。
先日、ゆっくり接写するチャンスがあったのでお目に掛けます。
まずは全体像。右が頭、左が腹端です。とんがったしっぽのようなものが、スズメガの仲間の幼虫の特徴です。
ところで、「眼」がよくわからないのです。
多分、黒っぽい斑点が、そうなのだろうと思いますが、これほど眼がはっきりしないのも珍しい。昆虫の脚は3対6本ですが、その正式な脚もこの頭部のすぐ下に見えます。枝にすがりついているようなのがそれです。
腹の体節にできる、幼虫のときだけの仮の脚ですね。これが結構かわいい。先端が貝殻のような形になっていたり、その上に刺というのか毛なのか、が生えていたり、結構複雑な構造ですね。
こちらは「尾脚」です。1対です。
これも枝を挟んでいます。
これは、かわいい「しっぽ」です。
今回、ここまで接写して、私も初めて、黒い点々の模様に気付きました。
面白いものですね。感嘆しました。
中原街道の上りが環状7号線と交差するちょっと手前にあるお地蔵さまです。小さなお堂なのですが、造りはとても立派です。建築関係の方の家に接してますし、きっと、建築関係者さんたちが、損得抜きで、全力で造ったのではないでしょうか。とくに、お堂の大きさに対して、屋根の立派なこと。ちょっと重たそうですが、「本物」です。
鐘がついているのも、楽しいですね。
「延命地蔵尊」という幟も、定期的に更新されます。
現在も、地域に生きているお地蔵様ですね。はるかなまなざしの「弥勒菩薩」などに比すると、とても近くにあって、生活する人の日々の哀しみや歓びを受け止めてくださる菩薩様、という感じがします。
もともと、菩薩行、というものが、自分の解脱を後回しにして、すべての人が救われるまで、この世にあって手をさし伸べていこう、という誓い、意志の実践ですから、私は、お地蔵さまこそ、菩薩という名に値するのではないかと、若いころから思っていました。
通勤の関係で、12年くらい、平日毎日朝、この延命地蔵尊の前を通っていました。必ず「行ってまいりま~す」と、呟いて通ったものです。
おかげさまで、何とか今も、永らえております。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
30 | 31 |