ヘクソカズラ
すごい名前をもらってしまいましたが、花はとってもかわいいですよ。
花に接近。
http://www48.tok2.com/home/mizubasyou/95hekusokazura.htm
このサイトをぜひご覧ください。非常に詳しい解説があります。
へくそ‐かずら【屁屎葛】 カヅラ:アカネ科の蔓性多年草。山野・路傍などに普通。葉は楕円形。全体に悪臭がある。夏、筒形で、外面白色、内面紫色の小花をつけ、果実は球形、黄褐色に熟す。ヤイトバナ。サオトメバナ。古名、くそかずら。漢名、牛皮凍。[広辞苑第五版]
ヤイトバナという名は、花の中央に「やいと=灸」のあとのような赤味があるからだそうです。
サオトメバナという可憐な名前もあるのに、なんとまあ、とんでもない名前をもらったものです。
さて、ヘクソカズラはその名の通り臭い、とあちこちに記載されています。
どのくらい臭いのだろうと試してみました。元化学教師ですから、いろいろな悪臭物質とも接してきましたので、さして悪臭を気にしない性質なのです。
葉をちぎって、折って、揉んで、裂いて・・・いろいろやったのですが、臭くないですねぇ。
濃い青臭さ、草の香の濃いやつ、そんな感じで、別にどうという匂いでもありませんでした。なんでかなぁ?
(私の嗅覚はあまり信用できないことは確かです。アゲハ類の幼虫が怒ると「悪臭を出す」といわれますが、あの匂いが私には一種の芳香に感じられるという人ですから。)
匂いの元は、CH3SHという化合物で、通称(メチル)メルカプタン、正式名称はメタンチオールという物質だとあちこちに書いてありました。
◆R-OHだと「アルコール」という物質群になります。名前の語尾が「オール」となります。
R-SHを「チオール」と呼びます。「チオ」というのは硫黄のことです。
(Rは炭素の鎖に水素がくっついたもの。アルキル基といいます。)
東京ガスが家庭に送っているのは90%以上の純度のメタンガスです。これは無色無臭です。もしガス漏れが起きたとき、色もなければ匂いもないのでは、漏れたことに気付きませんね。そこで安全のためにわざわざ悪臭を付与してあるのです。これがチオールの仲間の化合物のようです。(渋谷の温泉施設で天然ガスが発生して爆発事故が起きましたが、天然ガスの主成分はメタンで、無色無臭ですから、漏れたことに気付かなかったのですね。これが悪臭ガスなら早くに気付いたかもしれませんが・・・。)
さて、植物体の中では、メタンチオールが糖と結合して「配糖体」という状態で存在します。それが植物体が傷つけられると酵素が働いて結合を切り、メタンチオールが発生して悪臭を放ち、植物体を外敵から守る、という仕組みのようです。(悪臭に感じてくれないやつがいると困りものですね。)
わさびをすりおろして、しばらくおくと辛味が強くなってくるというのも仕組みは同じですね。
悪臭成分がメタンチオール(メチルメルカプタン)だとすると、キャベツの腐ったようなというか、チーズ臭、口臭、屁の臭気成分でもあります。とはいえ、そうとんでもない悪臭だとは私は思いませんが・・・。
この防御態勢のおかげであまり食害を受けないというのですが・・・
http://kanon101.cool.ne.jp/foto_sinrin/006_souhon/K_akane/hekuso_kazura/hekuso_kazura.htm
ヘクソカズラの臭いのもとは、細胞内に蓄えられたペデロシドという物質。葉や茎が食害を受けることでこれが分解され、メルカプタンという揮発性物質が生成され悪臭として働く。これにより、ヘクソカズラを食草とする昆虫はほとんどいない。しかし、中には例外もおり、ヘクソカズラヒゲナガアブラムシは、ヘクソカズラの汁を吸い、成分を体内に蓄積することで、テントウムシの捕食から逃れていると言われている。また、スズメガ科のホシヒメホウジャク、ホシホウジャクの幼虫もヘクソカズラを食草とすることが知られている。チョウ目の幼虫の多くは狭食性を示すが、このスズメガ科の両者は、誰も手を出さない植物を選択したことで、食草を独占できる。
このページの最初の写真もそうなのですが、やたらと虫に食われてますよ。チョウの幼虫が食べたような跡ではなくて、葉に穴が開くような食べ方というのは「誰ですか?」
ヘクソカズラヒゲナガアブラムシでしょうか?
今のところ正体不明です。
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