肝心な情報は消えやすい
先日の参議院議員選挙の投票に行った時、投票所のそばの学校に張り出してあった掲示の一部です。
「緊急時以外は●●●です。」
さて、緊急時以外は何なのでしょう?
よくありますね、標語の掲示板とか、道路の注意喚起表示とか、・・・。
大事なところ、注目してほしいところを「赤字」で書きますね。その時はいい。
ところが、ちょっと年月を重ねてしまうと、てきめんに、大事なことを書いてあった赤い字は消え、黒い字だけが残るのです。
なんででしょう?
ごく大雑把にいいますと。
黒の顔料は値段的に言ってもおそらく「カーボンブラック」が多いでしょうね。カーボンブラックは非常に堅牢な顔料です。空気中の酸素で酸化されることも少ないし、すべての光を吸収するのですが(だからこそ黒く見えるのですが)、それによって分解されたり色あせたりすることはありません。だから、いつまでも黒々と残ります。
ところが、赤の顔料はというと。
バーミリオンは水銀、カドミウムレッドはカドミウム、クロムレッドはクロムなど毒性が問題になりますので、有機顔料を使うことになるでしょう。
そうなると、顔料が吸収した光によって有機物が分解され退色するという問題が起こります。
光のエネルギーは、波長が短い方が高エネルギーで、長いほうが低エネルギーです。
赤の顔料が赤く見えるのは、補色関係にある青系の光を吸収するからです。吸収しなかった色を反射するので赤く見えるのですね。
高エネルギーの青系の光を吸収するということは、分解されやすいということでもあります。
ですから、低エネルギーの赤系の光を吸収して青系に見える顔料よりも、赤系の顔料の方が大雑把に言って退色しやすくなります。(もちろん個々の顔料によって性能が異なりますので、必ずすべてに当てはまるというものではありません。)
注意を引こうとしてせっかく「真っ赤な文字」で書いたのに、先に退色してしまって、黒で書いた「地の文字」だけが残っていることが多いのは、こんなことがあるのでしょう。
赤系の無機顔料で「ベンガラ」があります。酸化鉄です(鉄さびと同じもの)。堅牢で安全な顔料ですが、残念ながら少し「茶系統」の色になりがちで、鮮烈な赤にはならないのですね。
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